夫や妻など、家族が亡くなったときに条件に該当していれば遺族年金を受給できます。ただし、遺族年金の種類によって対象の遺族が異なるため、注意が必要です。
さらに、もし妻が60歳で子どももいない場合は、遺族厚生年金に加えて中高齢寡婦加算の対象になるケースもあるので、チェックしておきましょう。
今回は、遺族年金の概要や60歳で子どものいない妻は遺族年金をいくら受け取れるのかなどについてご紹介します。
遺族年金の概要
遺族年金は、年金を受給中の方や受け取る予定であった方(以降、本人)が亡くなった場合に、条件を満たしている遺族へ支給される年金です。遺族年金の種類によって、条件や受け取れる遺族の範囲も異なります。
2種類の遺族年金における条件や支給される遺族の範囲は表1の通りです。
表1
遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 | |
---|---|---|
亡くなった時点で本人の年金状況がいずれかに当てはまっている | ・国民年金に加入中だった
・60~65歳未満の国民年金加入者で、日本国内に住所を有していた ・老齢基礎年金の受給権を有していた ・老齢基礎年金の受給資格を満たしていた |
・厚生年金に加入中だった
・厚生年金の加入中に初診日があり、そのけがや病気が原因で初診日から5年以内に亡くなった ・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受給中だった ・老齢厚生年金の受給権を有していた ・老齢厚生年金の受給資格を満たしていた |
支給される遺族 | 本人に生計を維持されていた以下の遺族
1子どものいる配偶者 2子ども |
本人に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方
1子どものいる配偶者 2子ども 3子どものいない配偶者 4両親 5孫 6祖父母 |
金額 | 【子どものいる配偶者が受け取る場合】
・昭和31年4月2日以降生まれ:81万6000円+子どもの人数に応じた加算額 ・昭和31年4月1日以前生まれ:81万3700円+子どもの人数に応じた加算額 【子どもが受け取る場合】 1人あたり「81万6000円+2人目以降の子どもの加算額」を子どもの数で割った額 |
・本人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3 |
状況に応じて加算される金額 | 子どもの加算額:1人目と2人目は1人につき23万4800円
3人目以降は1人につき7万8300円 |
中高齢寡婦加算:条件に当てはまっていれば年間61万2000円が加算される |
※筆者作成
この場合の子どもとは、18歳になった年度の3月31日までにある人や20歳未満で一定の障害の状態にある人をいいます。
中高齢寡婦加算とは、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取っており子どもが18歳を超えるなどで遺族基礎年金の対象外となった妻、もしくは夫が亡くなったとき40~65歳未満で生計を同じくしている子どものいない妻が、40歳~65歳になるまでの間、遺族厚生年金の金額に年間61万2000円が加えられる制度です。
ただし、妻が65歳に達すると老齢基礎年金の対象になり、利用できなくなります。
遺族年金はどうやって受け取る?
遺族年金は申し込みが必要な制度です。死亡診断書のコピーや本人の基礎年金番号が分かる書類などを用意して提出します。本人が亡くなった原因や状況などによって必要な書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
配信: ファイナンシャルフィールド