生活保護を申請する際に、扶養照会をされることが気になる方もいるでしょう。扶養照会とは、生活保護を申請した方の家族や親族に申請者の支援をしてもらえないかをたずねる書類が送られることです。
この扶養照会により距離をとっていた親族に現在の状況などがバレる可能性があるため、申請自体をためらってしまう方も少なくありません。
しかし、扶養照会は理由があればしなくても生活保護の申請ができるので、担当の方に断る旨を伝えておきましょう。
今回は、生活保護や扶養照会などについてご紹介します。
生活保護の条件
生活保護は、さまざまな事情で生活に困窮している方に対して、困窮度合いに応じて必要な生活保護費を支給し、その自立を助長することを目的とした制度です。生活保護を受けるには、以下に挙げる財産や能力、支援をすべて活用しても収入が最低生活費に届いていないことが要件となります。
●預貯金や利用していない土地、建物といった資産
●就労能力がある場合は働いている、あるいは働こうとしている
●公的年金や児童手当といった生活保護ではない支援制度や給付金
●親族から支援を受けられる場合はその支援
これらを活用したうえで、収入が最低生活費に届いていない場合、その差額分が支給対象となります。なお、住んでいる地域や世帯人数などによって最低生活費が異なります。最低生活費に届いているのか分からない場合は、まず自治体の窓口へ相談してみましょう。
また、親族からの支援を受けられるか判断するために、扶養照会が行われるケースもあります。
扶養照会とは
扶養照会とは、生活保護を申請した方の家族や親族に、何かしらの形で申請者の支援ができないかを聞くことです。封書で届けられるケースが多く、受け取った家族や親族は必要事項を記載して返送します。
支援の内容は金銭面だけでなく、定期的に連絡をとったり子どもを預かったりといった精神面での支援も対象です。もし、家族や親族が申請者の支援ができない場合は、その旨を記載して返送すれば問題ありません。
生活保護は必ずしも親族に扶養照会されるわけではない
扶養照会をすると、生活保護を申請した方の現在の状況がある程度家族や親族にバレることになります。しかし、生活保護申請者のなかにはDVを受けていたり借金をされていたりなどで、親族からの扶養が難しいケースもゼロではありません。
そのため、必要に応じて扶養照会をせずに申請することも可能です。
ただし、うそをつくと生活保護の条件である資産などあらゆるものの活用をしなかったとみなされるおそれがあるほか、今後の生活保護に関する相談などでの信頼関係にもかかわります。親族に連絡をとりたくない場合は、その理由を素直に伝えましょう。
申請の際は、「扶養照会をしたくない」といった伝えたい内容を紙などにまとめておくと、落ち着いて伝えやすくなります。
配信: ファイナンシャルフィールド