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思春期の「居場所」を考える 認定NPO法人3keys(スリーキーズ)が問いかける“ひとりでいられる安心”とは

学校やSNS、アルバイトや部活。思春期の頃を振り返ると、人とのつながりに囲まれながら過ごしていた記憶があるという人も多いのではないでしょうか。けれど今の若い世代の中には、「誰かとつながること」が必ずしも安心につながるとは限らないと感じている人も少なくないようです。むしろ、無理に会話をしなくてもよく、ただ静かに過ごせる場所を求める声も広がっています。

そんな思春期世代のリアルな気持ちや居場所のあり方について考えるセミナーが、東京・日比谷図書文化館で開かれました。子どもや若者の支援活動を続けてきた認定NPO法人3keysが主催したもので、専門家による講演や調査結果の発表、行政関係者を交えた議論などを通じて、これからの「居場所づくり」について多角的な視点から語られました。

いま、若者が求めている居場所とはどのようなものなのでしょうか。そして、その背景にはどんな社会の変化があるのでしょうか。セミナーで示されたデータや議論をもとに、思春期世代の居場所について考えてみます。

思春期世代に起きている「変化」とは

思春期の子どもたちを取り巻く環境は、この10〜20年ほどで大きく変化してきていると言われています。今回のセミナーでは、筑波大学人文社会系教授の土井隆義氏が登壇し、青少年をめぐる社会の変化についてさまざまなデータをもとに解説しました。

近年、不登校の増加や子どもの自殺の問題など、若い世代の「生きづらさ」に関するニュースを目にする機会が増えています。こうした状況について土井氏は、単に子どもたち個人の問題として捉えるのではなく、社会や大人の側の変化とも深く関係している可能性があると指摘します。経済環境の変化や価値観の多様化、そして人間関係のあり方の変化など、さまざまな要素が複雑に絡み合いながら、思春期世代の感覚や行動にも影響を与えているという見方です。

とくに印象的なのは、今の子どもたちの人間関係の感覚が、10〜20年前とは大きく異なってきているという指摘でした。人と関わることが当たり前とされてきた社会の中で、つながりの多さが時に負担となる場面も生まれています。周囲と同じように振る舞うことや、常に誰かと関係を保ち続けることが求められる環境の中で、心の余裕を持つことが難しくなっているケースもあるのかもしれません。

そうした背景を踏まえ、思春期世代の「居場所」をどのように考えるべきかというテーマが、今回のセミナー全体を通して大きな軸となっていました。子どもたちが安心して過ごせる場所とはどのようなものなのか。大人がこれまで当たり前だと思ってきた価値観を見直すことも、これからの社会には必要なのかもしれません。

約4,000人の調査で見えてきた「ひとりでいられる居場所」のニーズ

セミナーでは、思春期世代がどのような「居場所」を求めているのかを探るために行われた大規模なアンケート調査の結果も紹介されました。調査の対象となったのは全国の10代およそ4,000人。北海道大学大学院教育学研究院の加藤弘通氏と、早稲田大学の白田好彦氏によって、その結果が発表されました。

一般的に「若者の居場所」と聞くと、同年代の仲間と交流できる場所や、何かの活動やプログラムに参加できる場所を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし今回の調査では、それとは少し異なるニーズが浮かび上がってきました。

調査結果によると、思春期世代の約3分の1が「非交流型重視グループ」に分類されるという結果が示されたのです。これは、誰かと積極的に交流することよりも、「一人で過ごせること」や「自分の時間を大切にできること」を重視する傾向を持つグループを指します。

友達と話すことや、誰かと一緒に活動することが楽しいと感じる一方で、常に人と関わり続けることに疲れてしまうという声も、若い世代の中には少なくありません。そうした人たちにとっては、会話をしなくてもよく、ただ同じ空間にいながら自分のペースで過ごせる場所が安心につながることもあるようです。

こうした「ひとり志向」や「秘匿性」を重視するニーズは、これまでの居場所づくりのイメージとは少し違うものかもしれません。しかし今回の調査は、思春期世代の多様な感覚を理解するうえで大きなヒントを与えてくれるものとなりました。若者が安心できる場所を考えるとき、「交流すること」だけを前提にしない視点も、これからはますます大切になっていくのかもしれません。

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