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思春期の「居場所」を考える 認定NPO法人3keys(スリーキーズ)が問いかける“ひとりでいられる安心”とは

「ただそこにいられる場所」をつくる――3keys(スリーキーズ)ユースセンターの5年間

セミナーの後半では、主催団体である認定NPO法人3keys(スリーキーズ)の代表理事・森山誉恵氏が登壇し、これまで取り組んできた若者の居場所づくりについて紹介しました。

3keysでは2021年から、思春期世代が安心して過ごせる場所として「ユースセンター」を運営してきました。この場所の特徴は、特定のプログラムや活動への参加を前提としていないことです。誰かと交流しなければいけないというルールはなく、ただ静かに過ごすことができる。そんな「非交流型・非プログラム型」の居場所として運営されてきました。

一般的な居場所づくりでは、交流イベントや学習支援など何らかの活動が用意されていることが多いですが、3keysのユースセンターでは「何もしなくてもよい場所」であることが大切にされてきました。
人と話したいときには話せる一方で、ひとりで過ごしたいときには無理に関わる必要はなく、家庭や学校での人間関係から離れてひとりで過ごしたいときにも、子どもたちが何かを強制されることなく、ほっと息をつける場所となっています。
こうした自由な距離感が、思春期世代にとっての安心感につながっているといえそうです。

このユースセンターは約5年間にわたって運営され、コロナ禍の中でも継続して開かれてきました。その間、大きな事故やトラブルもなく、静かに若者たちの居場所として機能してきたそうです。

しかし今回のセミナーでは、このユースセンターが2026年3月17日をもって閉館することも発表されました。立ち上げのための資金集めから始まり、多くの試行錯誤を重ねながら続けてきた活動だけに、森山氏が思いを語る場面では胸に迫るものがありました。

今後は、この取り組みで積み重ねられてきた経験や考え方を、国や行政、民間団体などに向けて、広く伝えるための活動に力を入れていくそうです。
若者が安心して過ごせる場所とはどのようなものなのか。その問いに向き合い続けてきた5年間の実践は、これからの居場所づくりを考えるうえでも大きな意味を持つ取り組みと言えるでしょう。

民間の取り組みが社会へ広がる――港区で始まる新しい居場所づくり

セミナーでは、3keysがこれまで取り組んできた「非交流型・非プログラム型」の居場所づくりが、社会の仕組みとして広がり始めていることも紹介されました。

登壇した東京都港区の子ども若者支援部・矢ノ目真展氏からは、港区で計画されている新しい居場所づくり事業について説明がありました。この事業では、高校生世代の若者が一人でも安心して過ごせる場所を整備することを目指しており、2027年1月の開設が予定されています。

これまで3keysは、この計画の初期段階から情報提供や提言などを行い、行政と連携しながら取り組みに関わってきたといいます。民間の団体が実践してきた居場所づくりの経験が、自治体の事業として活かされていく流れは、社会的にも大きな意味を持つ動きと言えるかもしれません。

当日は、こども家庭庁の担当者や元港区子ども家庭支援センター所長なども参加し、トークセッションが行われました。そこでは、「非交流型」の居場所がどのような役割を持つのか、そして今後どのような形で社会に広げていくべきなのかについて、それぞれの立場から意見が交わされました。

若者の居場所をめぐる課題は、ひとつの団体だけで解決できるものではありません。民間の活動、行政の制度、そして社会全体の理解が重なり合うことで、新しい仕組みが少しずつ生まれていくのかもしれません。今回のセミナーは、その可能性を感じさせる場にもなっていました。

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