最近各地で駅の改修工事が進んでいる。
私(佐藤)の住む東京・中野のJR中野駅は2020年から始まった大規模な改修工事が大詰めを迎えており、2026年末には橋上駅舎が完成し、開業する予定なのだとか。
以前とは比べ物にならないほど、駅周辺の景色が様変わりした。
中野駅に限らず、各地で老朽化などの理由から改修が進められている。利便性が向上するのは有難いことなのだが、昔の街の風情がなくなるようで寂しくも思う。
そこで、工事中や工事予定の駅を訪ねて、その周辺に残された「昭和」を探すのがこの企画。慣れ親しんだ面影がなくなる前に、この目に焼き付けておきたい。初回は西武線の新井薬師前駅から沼袋駅を訪ねた。
・ささやかな日常に
先に述べたように、改修されつつある駅の風情を記録するのがこの企画の主旨である。それと同時に、遠くに行かずとも、日常の景色の中にも発見がある。そのことを読者の皆さんにお伝えしたい。
こんな時代、「豊かさ」とは何かわからなくなることもあるだろう。ささやかな日常、身近な景色に潜む驚きや感動に気づくことこそ、豊かさではないだろうか。皆さんにも日常の発見を楽しんで頂きたいのだ。
・新井薬師前駅
さて、なぜ今回新井薬師前駅を訪ねることから始めたのか? その詳しい経緯は後述させて頂こう。
まずは眼病平癒・子育薬師として知られる「梅照院」へと向かった。この日は晴れた日曜日であったため散策している人の姿が多く見られる。桜の開花が宣言される前だったため、まだ花見とはいかなかったけど、それでも十分に春の空気を感じさせる。
「新井薬師公園」ではすでに桜祭りの準備が整っていた。提灯が張り巡らされていて、あとは花開くのを待つだけ。次の週末、もし晴れたなら花見を始める人もいるだろう。
白状すると、私は新井薬師がどこだか知らなかった。梅照院のことを指すと知ったのは今回訪ねてからであって、それまでは通り向かいの「北野神社」がそうだと思っていた。こちらは「新井天神 北野神社」が正式名称。つまり、学問の神様菅原道真が祀られているのである。
こちらは「プリンセス雅」という桜が満開! 見上げると鳥たちが桜の花をついばんでいる。
なんて名前の鳥だろう。こういうときに、パッと名前が出てくるくらいの知識は備えたいものだ。その方が散策は楽しいはず。
梅照院・北野神社とお参りして、本来の目的地である「新井薬師前駅」へ。たしか以前は周辺に昭和を感じさせる古い建物が立ち並んでいたはずなのだが、すでに駅南口は更地になっていた。ここから建物の陰で見えなかった駅舎が丸見えになっている。寂しい景色だなあ……。
工事エリアが駅舎のすぐそばまで迫っていて、駅看板が半分隠れてしまっている。地下化するということだから、いずれ改札も地下に移動することになるのだろう。
地上改札はそう遠くない未来に、この地面の下に行くのかもな。
中井から野方駅までの7カ所の踏み切りがなくなる工事計画。これを地下に移設するなんてことが本当にできるのか? そう思われる人もいるだろう。これができるんだなあ。
私は若い時分に、地元島根県の出雲市駅の高架化工事に携わったことがあって、踏み切りを撤去する工事を経験している。「こんなことできるのか!?」と思うような工事を実際に経験しているので、地下化もできることを体験を通して知っているのだ、そりゃあもうすごい工事だったよ、うん。
