見えにくい“原因”
生活は不規則ながら、食事はとれている様子。周囲からは「飲酒量が多い」という声もありましたが、健康診断では特に問題はありません。業務の負担も、以前より軽くなっています。
私:「何か思い当たることはありますか?」
美恵子さん:「……早めの更年期とか?」と、苦笑い。
私:「いえ、まだその可能性は低いですね。眠りはどうですか?」
美恵子さん:「あまり眠れません。夜中に目が覚めることが多くて」
私:「ずっと緊張されているからだと思いますよ。ご家族の方はご一緒にお住まいですか?」
美恵子さん:「いいえ。実家は東京で、就職を機に大阪に来て一人暮らしです。でも……一人暮らしのほうが、ずっといいんです。母とは、うまく会話ができなくて、大学時代はほとんど会話をしていませんでした。母はちょっと変わっていて……。母の理想を押し付けられて、大学も母の言う通りに決めました。でも、今はもう会いたくないし、実家にも帰りません」
私:「それは……つらい思いをされましたね。今のお部屋は、安心できる場所なんですね」
美恵子さんは、静かにうなずきました。
「べきの呪い」に気づいていますか?
こうした背景を持つ方は、決して珍しくありません。
いわゆる「条件付きの愛情」の中で育ってきたケースです。
「優秀であるべき」
「結果を出さなければならない」
「期待に応えなければ愛されない」
そんな環境の中では、ありのままの自分を認めることが難しくなります。
そしていつの間にか、【○○であるべき】という思考が、自分自身を縛るようになります。
これがいわゆる、「べきの呪い」です。あなたの中にも、残っていませんか? この“呪い”にとらわれていると、自分を信じる土台が育たず、大人になっても心が揺らぎやすくなってしまいます。

