・イケメンで薄まるヤクザの怖さ
あとはヤクザや裏社会の人間がかっこよく描かれすぎている点もちょっと気になった。細木数子にしても島倉千代子にしても、ヤクザとうっかり関わったことで地獄を見ているわりに、ヤクザが色男ぞろいである。
まず、数子が多額の借金を負う原因になる詐欺師の男を演じるのが中島歩なのだが、背が高い精悍な体つきに、なんといっても信じられないくらい声がよい。昔風のスーツやオールバックが似合う色男で、うっかりこっちも騙されそうになる。
さらに細木数子の最愛の男として出てくるのが生田斗真。横顔の骨格が美しすぎて、ヤクザの親分にしては色男すぎる。細木数子を演じているのも戸田恵梨香なので、ラブシーンなどが綺麗なのだ。
そんな色男たちと戸田恵梨香が恋をするわけなので、決して、ドラマが面白くないわけではない。第9話まで完走したことを考えると、面白い作品だったと思うのだが……。
あまりヤクザを悪く描くと都合の悪いことでもあったのだろうかと勘繰ってしまう。
・短期で占いの女王に上り詰めた理由
物語の後半でようやく占い師デビューする数子だが、それまで銀座や赤坂で水商売をしていた女性が、ほんの短期間で占い界の大御所になった部分にはなるほど……と思わされた。
夜の銀座でつちかった人身掌握術や財政界とのつながり、島倉千代子の興行で理解したエンタメの本質、大物に取り入るスキルなど、細木数子が人生で得たダークスキルの集大成が占い師としての成功に繋がっているのだ。
私は大学卒業後、占い系の編プロで6年ほど働いており、占い業界の末端にいたことがある。
当時は携帯占いサイトの全盛期で、『地獄に堕ちるわよ』の最後の最後に出てくる「月額会費だけで毎月70億を稼いでいた細木数子の占いサイト」は業界で有名だった。
とはいえ、占い業界だと細木数子は異端的な扱いで、日本占術協会の会員などにも入っていなかったと思う。占い業界は横のつながりが強いのだが「うーん、細木先生のことはよく知らないな……」とみんな口を濁していたのも印象的だった。
その理由が第8話〜第9話の流れを見てちょっと理解できた。
劇中でも言われるが「占いは人の人生を変えてしまう」という恐ろしいものだ。
占いは転ばぬ先の杖であり、人を恐怖で脅したり、不幸を予言するようなことは言ってはいけない……というのは暗黙のルールである。
あの「地獄に落ちるわよ」といった断定的な占いが世間からウケたことに関しては、真面目にやっている占い業界にとってはけっこうなダメージだったので、しっかり批判してほしかった。
