競馬の祭典・日本ダービー。1万頭近い同世代の頂点を決めるこのレースには、数々のドラマが刻まれてきた。だが、ファンが常に熱論を交わすテーマがある。「結局、歴代で一番強かったダービー馬はどれなのか?」という問いだ。
今回、四半世紀以上にわたり現場で馬の息遣いを聞いてきた競馬担当記者である私(筆者)が、独断と偏見、そしてプロの冷徹な視点を交えて「最強ダービー馬ランキング」を選定した。
なお、断っておくが史上最強の牝馬の一頭であるウオッカは、あえて11位(ランク外)とした。その理由は、「牝馬としては確かに最強だが、牡馬と比較すると上には上がいる」からだ。
それでは、「最強ダービー馬」を10位から順に発表していこう。(2回中の1回)
【10位】 キズナ(2013年)
「絆」という名の馬が繋いだ温かさ
競走成績:10戦6勝 主なG1:日本ダービー・京都記念 父:ディープインパクト 騎手:武豊
東日本大震災から2年。「キズナ」という馬名を持つこの馬が2013年のダービーを制したとき、競馬界だけでなく社会全体が温かいものを感じた。父ディープインパクト産駒初のダービー馬という歴史的な意義も持ち、エピファネイアを抑えた勝利はレース内容も申し分なかった。
現役生活は故障に悩まされて10戦6勝という数字にとどまったが、種牡馬として大成功を収め、ジャスティンパレスやキズナ産駒のG1馬が続出している。「ダービー馬の真価は種牡馬成績で決まる」という格言があるとすれば、キズナのダービー制覇は今もなお「進行中」だ。10位ながら、これからも語られ続ける馬だと断言する。
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【9位】 スペシャルウィーク(1998年)
武豊が初めて「ダービージョッキー」になった日
競走成績:17戦10勝 主なG1:日本ダービー・天皇賞(春/秋)・ジャパンC 父:サンデーサイレンス 騎手:武豊
1998年のダービー、武豊は初勝利を飾った。その喜びは普段クールな武豊が感情を爆発させるほどのものだった。2着キングヘイローに3/4馬身差という際どい勝利だったが、その後の古馬G1制覇ラッシュはスペシャルウィークの潜在能力が本物だったことを証明した。
天皇賞(春)、天皇賞(秋)、ジャパンカップという中長距離G1を制覇し、時代の寵児となったこの馬のダービーは、着差こそ小さいが「武豊×サンデーサイレンス産駒」という黄金コンビの始まりを告げる一戦として競馬史に刻まれた。
後にドウデュースとの「ダービー師弟制覇」というロマンも語られるようになった武豊にとって、スペシャルウィークとの初ダービー制覇は原点だ。
