「母子免疫ワクチン」とはどんな仕組みか
今回定期接種となったのは、妊婦が打つことで生まれた赤ちゃんに効果が及ぶ「母子免疫ワクチン(アブリスボ)」だ。妊娠28〜36週の妊婦が1回接種すると、母体内で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、出生時から乳児がウイルスへの予防効果を持った状態で生まれてくる。
有効性のデータは印象的だ。重症の下気道感染症に対して、生後90日以内で約8割、生後180日以内でも約7割の予防効果が認められている。このワクチンはすでに世界65カ国以上で承認されており、実績のある選択肢である。
髙橋先生はこう評価する。「重症例の抑制や喘息リスクの低下、入院などによる家族への負担軽減を考えると、定期接種化は非常に意義深いと思います。入院の重症化予防、将来の喘息リスク低下、そして経済的な負担軽減——こうした多面的なメリットを考えると、一律に接種できるようになる定期接種化は素晴らしいと思います」
「早産リスクが上がる」という噂の真偽
SNS上では「ワクチンで早産リスクが上がるのでは」という声も見受けられる。これについて髙橋先生は明確に否定する。
「早産リスクに関する懸念は、日本で接種できるアブリスボ®筋注用とは別のワクチンの話です。アブリスボ®筋注用では早産リスクの上昇は見られていません。大規模な調査によっても安全性が確認されており、厚生労働省も早産や死産などの重篤な副反応について重大な懸念はないとしています」
副反応としては、接種部位の痛みや腫れ、頭痛、筋肉痛などが報告されているが、「局所反応が最も多く、すぐに収まります」(髙橋先生)とのことだ。なお、ワクチンの成分は胎児には移行しないため、赤ちゃんへの直接的な影響はないとされている。

