Xの仕様変更で、アルゴリズムに個人の発信が左右されるようになった昨今。初の著書『サブカルをお守りにして生きてきた』を刊行したナツイ氏は、いわゆる「ネタツイ」文化のなかで継続的にバズを生み出しながら、いまはnoteや書籍といったタイムラインの外にも居場所を広げつつある。
Xの記事コンテストにもランクインするなど、大きな影響力を誇りながらも、軽薄なバズに回収されない矜持を保ち続けるナツイの視点から見た、日本語圏のインターネットの空気の変化について訊いた。
Xのアルゴリズムがネタツイに与えた影響
──今のTwitter(現X)はどんな場所になっていると感じますか?
ナツイ(以下同) アルゴリズムが発達したことにより、全く関係のない人から石を投げられるようになったと思います。なので軽率にはフザけられなくなっているのが現状ですね。あと、継続的にウケることを言わないとタイムラインにも表示されなくなりますし、バズること以外が発信しづらくなってしまった息苦しさもあります。
例えば、昔のTwitterには病みツイとかいいねがつきづらい内容を投稿しても誰かが反応してくれて、それによって助けられていた面があると思うんです。今も熱心に自分の本や記事を読んでくれるのは、その頃から知り合っているフォロワーだったりするんですよね。
──単にバズった投稿を見ているだけのユーザーは、継続的には活動を追ってくれないというか。
そうなんです。『香水』を聴いた人がそのまま瑛人を追うわけではない、という構図と一緒で。バズったとしても、コンテンツのひとつとして認識されるだけなんですよ。
──アルゴリズムの変更によって、どのような投稿が増えたのでしょうか?
投稿が伸びるかどうかは初速が関係しているので、みんなで同じ画像を使ってネタにすることが最近は多いですね。前提となるノリが共有されているので、すぐに拡散されるんです。
しかも、ある画像のツイートが一度バズると、次に同じ画像を使った投稿をした時に、その画像を前にいいねした人へ優先的に表示されやすくなる、みたいな細かいアルゴリズムがある気がするんですよね。だからFRUITS ZIPPERに関するツイートで一度バズるとボーナスタイムに入るんですよ、その後もアイドルオタクの方々が見てくれるので。
──アイドル本人がバズった投稿へリアクションする流れもごく普通になりましたね。
特にKAWAII LAB.は偶然生まれるバズに対して寛容ですね。その分、投稿する側としてもネガティブな文脈ではアイドルの画像を使わないようにしようとは思っていて。露悪的なものは避けられる傾向がありますし、世の中全体としても「『楽しい』を求めてSNSを見ているはずなのに、なんで楽しくないことを言うんだろう」という方向に空気が寄っている気がします。
2010年代のTwitterが生んだネタツイ文化
──ナツイさんはいわゆる「ネタツイ」を長らく投稿されていますよね。アカウントを開設してから今に至るまで、投稿する内容は一貫しているのでしょうか?
いえ、初めてTwitterのアカウントを作った2010年ごろは基本的にROM専(SNSや掲示板などで投稿をせずに閲覧を専門にしているユーザーの総称。ROMは「Read Only Member」の略)でした。今のアカウントを作ってからは最初、職場の悪口を書いていましたね(笑)。
──ある意味で正しいTwitterの使い方というか(笑)。ただ、Xになる前のTwitterのタイムラインは、そういった日常に関する投稿がネタツイや政治のニュースと混ざり合っていた場所でしたよね。
そうなんですよ、おすすめ欄もまだなかったですし。当時、私は職場の悪口にも笑える要素をちょっと入れるようにしていて、それで反応が集まるようになってから徐々にネタツイを投稿するようになったんです。
──当時ネタツイをしていたアカウントで印象に残ったものはありますか?
ひつじのあゆみさんやテクダさんは最初の頃から見ていましたね。それとダ・ヴィンチ・恐山さんも昔は近い界隈にいたような気がします。

