第3章:RPAとPythonの二刀流。痒い所に手が届く完全自動化への道
Excel内の作業が劇的に改善される一方で、もう一つの大きな壁が立ちはだかっていました。それが、他部署の帳票を見ながら届出に添付する書類をダウンロードする作業です。ここで立ち上がったのが、同じく企画チームの金澤さんでした。
金澤:私の担当領域では、「顧客番号のリストを見て、社内の別システムからPDFを2種類ダウンロードし、指定のフォルダに格納する」という手作業が毎日ありました。
これを3人の担当者が毎日1時間ずつ手作業でやっていたんです。今後口座数と比例して業務量も増える中「人間の手」がやり続けるのはしんどいと思いました。
金澤さんが活用したのは「RPA(Robotic Process Automation)」と呼ばれる、パソコン上の操作を自動化するソフトウェアロボットです。金澤さんは自らRPAの使い方を猛勉強し、人間がオペレーションするのと同様に帳票を参照し、ダウンロードする作業をロボットに覚えさせました。
しかし、RPAだけでは解決できない「細かな壁」がありました。ダウンロードしたPDFファイルに正しいルールで名前を付け直し、それぞれの専用フォルダに自動で振り分けるという作業です。
金澤:RPAだけだと漏れてしまう作業領域がありました。そこで、プログラミング言語の「Python(パイソン)」と、Windowsの操作を自動化する「PowerShell(パワーシェル)」を組み合わせて使いました。
これにより、帳票のダウンロード、PDFの名付けからフォルダへの格納まで、人間の手が一切触れることなく全自動で完了する仕組みができたんです。
Geminiを使ったExcelマクロ、RPAによる自動ダウンロード、そしてPythonによるファイル整理。それぞれの得意分野を掛け合わせることで、かつては手作業のリレーだった業務が、流れるような自動化プロセスへと生まれ変わりました。
写真:金澤さん
第4章:失敗と夜の居残り。過渡期を乗り越えて手に入れた「定時退社」
「7時間かかっていた作業が5分になった」。 数字だけ聞くと魔法のようですが、もちろんボタン1つで全てが順風満帆に進んだわけではありません。
富田:導入直後は、すべてが上手くいっていたわけではないんです。マクロを走らせてみたら文字化けしてしまったり、工程を進めていく中で「実は何個か前の工程でミスがあった」と発覚したり……。そのエラーの修正に追われて、夜の10時まで残業した日々もありました。
生成AIなどの新しいテクノロジーを、これまで人間の手で行われてきた複雑な業務プロセスを、生成AIなどの新しいテクノロジーにより効率化するには、一時的に負荷がかかる「過渡期」が必ず存在します。
金澤:新しいテクノロジーを現場の業務にアジャストさせていく過程では、当然ながら予期せぬエラーも発生します。その原因特定や修正作業に追われ、企画チームも試行錯誤を繰り返していました。
でも、現場の皆さんと密にコミュニケーションを取りながら、一つずつ確実に壁を乗り越えていったんです。
そうした地道な修正作業を重ね、システムはどんどん安定していきました。約半年間の試行錯誤の末、ついにシステムは完成形を迎えます。
富田:立ちはだかっていた壁をみんなで乗り越えた結果、今では定時の17時45分に帰れる日が増えただけでなく、働き方の「質」が大きく変わりました。これまでは目の前の入力作業をこなすだけで精一杯でしたが、今は自動化のおかげで時間が生まれました。
捻出した時間を、周りのメンバーのサポートやチームビルディング、さらには今後のためのマニュアル作成・共有など、「人間にしかできない、人間味のある仕事」に振り分けられるようになったんです。精神的な負担軽減・余裕が生まれたことが、チームにとっても大きなプラスになっていますね。
この劇的な効率化は、BSGチーム単独で成し得たものではありません。
各部が行っている煩雑事務をBSGが巻き取り、一元的に対応する態勢があったからこそなしえた効率化です。そこには、部署の垣根を越えた強固なリレーションが持てているみんなの銀行の体制と、業務フロー全体を見直す視点があったからこそ、この圧倒的な時間短縮が実現しました。
