コストをかけても、成就するとは限らない
それだけのコストをかけても、成就するとは限らない。都心一等地の再開発でも、権利調整に失敗したり、途中で所有者が不明になっていたりした結果、誰も住んでいないような朽ち果てた戸建てが放置されるケースもある。
そうした物件は、Netflixのドラマにもなった「地面師たち」のように、組織犯罪のターゲットになることすらある。
玄関口が消費者金融や質店に取り囲まれる形となったトフロム八重洲だが、A氏は「入口が多少不細工になっただけで、大成功でしょう」と話す。
そもそも、都心の複合開発はオフィスフロアで稼ぐようになっている。現在、コロナ禍からの対面回帰の流れにより都心の大型オフィスは争奪戦となっており、トフロム八重洲もその流れに乗っている。東京駅の真ん前で、高速バス乗り場も抱えており、「絶対に負けない立地」(A氏)だ。
「もし質店と消費者金融の入ったビルを諦めずに交渉が長期化していたら、建築コストの上昇が直撃して建築費が2倍になっていたかもしれない。むしろ幸運だったのでは」とA氏は語る。
消費者金融や質店も、多くの人通りで賑わって、商売が繁盛することだろう。東京を代表する新名所としては少し微妙な気分になるが、これもまた、日本という「決められない」国を象徴する光景なのだろう。
文/築地コンフィデンシャル 写真/shutterstock

