日本にとってより深刻なのは、高市政権による事実上の円安容認政策
AIがAIを設計し、AIがAIを最適化し、AIがサイバー空間を防衛し、同時に攻撃も行う。そこでは国家安全保障、金融、防衛、通信、電力、インフラのすべてがAIと直結する。つまり次の時代は、「AIを持つ国」が強いのではない。「AIが国家そのものを動かす国」が強くなる。
だから米国は、中国版AIの急速な進化を恐れている。米国AI業界では既に、中国が短期間で同等級AIへ追いつくことを前提に議論が始まっている。つまり今、米中が争っているのは、単なる生成AI競争ではない。次の文明OSそのものなのである。
しかし、日本はどうか。未だに「AIをどう活用するか」という段階に留まっている。もちろん、それ自体は重要だ。しかし、米中トップ15が見ている世界は、その遥か先だ。彼らはAIを便利ツールとしてではなく、国家そのものとして見始めている。競争している階層が、既に違うのである。
そして、日本にとって更に深刻なのは、高市政権による事実上の円安容認政策である。AI時代は、半導体もGPUも電力設備もデータセンターも、すべてドル建てで争奪される世界だ。つまり、国家としての購買力そのものが、AI競争力になる。
しかし、日本円は実質実効為替レートで見れば、既に歴史的低水準に沈み込み、国際的購買力を大きく失っている。これは単なる円安ではない。国家としての「買う力」そのものが劣化しているということだ。
ゲームは最初から通貨覇権と直結している
例えばエヌビディア製GPUを大量導入しようとしても、円安になればなるほど、日本企業の負担は膨らむ。一方、米国トップ企業群は、自国通貨であるドルを使い、数兆円、数十兆円単位でAIインフラを積み上げていく。つまり、このゲームは最初から通貨覇権と直結しているのである。
にもかかわらず、日本では株価上昇だけが成果として語られる。しかし、それはドル建てで見れば、実はそれほど強くない。円が弱くなれば、海外投資家から見れば日本株は割安化する。だから海外マネーは流入する。
しかし、その一方で、日本国内の購買力は静かに削られていく。これは繁栄ではない。むしろ、通貨安で演出された株高に近い。
高市政権は台湾有事や安全保障を強く打ち出し、支持率を維持してきた。しかし、その裏側で最も静かに悪化しているのが、実は日中関係である。

