今大会最大の変更点は、参加国が従来の32から48カ国へ、試合数も104試合へと一気に拡大されたことだ。この大会規模の膨張は、単に試合が増えるというドタバタ劇を意味するのではない。試合数が増え、チャンスが増えるということは、これまで世界のレジェンドたちが命を削って積み上げてきた「不滅の世界記録」が、一気に塗り替えられる舞台が整ったことを意味している。
国同士の覇権争いはもちろん、私たちがリアルタイムで目撃できるかもしれない歴史的瞬間を知っておくだけで、この夏の熱量はまったく違うものになるはずだ。
通算16ゴールの聖域へ——メッシとエムバペが同時に挑む「最多得点レース」
まずは、ワールドカップの歴史において最も価値があると言っても過言ではない「通算最多ゴール記録」の聖域だ。
現在、この頂点に君臨しているのはドイツの英雄ミロスラフ・クローゼが持つ16ゴールである。2006年のドイツ大会で打ち立てられて以来、実に20年近く誰も届かなかったこの大記録に、今大会は二人の怪物が同時に牙を剥く。アルゼンチンのリオネル・メッシは通算13ゴール、視線をフランスへと移すとキリアン・エムバペは12ゴールを引っ提げて北米の地を踏む。メッシはあと4点、エムバペはあと5点で単独新記録というシチュエーションだが、恐ろしいのはそのスピード感だ。
エムバペは前回のカタール大会だけで8ゴールを叩き出しており、グループリーグの3試合だけでもこの記録を射程圏内に捉えている。新旧の天才が同じ大会で、同時に同じ大記録を追いかけるという贅沢なレースは、後にも先にも今回限りだろう。
前人未踏の「6大会連続出場」へ——メッシとC・ロナウドが証明する“偉大なる耐久力”
さらに、スタッツの高さだけでなく、フットボーラーとしての「耐久力」の証明となるのが最多出場大会数だ。これまで5大会のピッチに立った選手はメッシやクリスティアーノ・ロナウドを含めて世界に数人しか存在しないが、今夏、この二人はともに人類初となる「6大会連続出場」という前人未踏の領域へ足を踏み入れる。
38歳になったメッシと、41歳を迎えたロナウド。20年以上にわたって世界のトップランナーであり続けた二人の生ける伝説が、同じ時代に揃って6度目の舞台に立つというファクトそれ自体が、すでに奇跡の領域と言える。なお、メッシは現在W杯通算26試合出場という歴代最多記録も保持しており、今大会でその数字をさらに自ら更新していくことになる。
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