終わりに――イノベーションの芽を摘むことのない結果を
筆者は冒頭で触れたとおり、KADOKAWAとは長い付き合いがあります。傘下のアスキー(ASCII.jp)では連載を持たせてもらい(注13)、月刊『ダ・ヴィンチ』やそのWeb版にも長く寄稿してきました(注14)。いま矢面に立つ夏野氏には、ITmediaで教育をテーマにインタビュー(注15)し、同氏のアスキー新書『iPhone vs. アンドロイド 日本の最後の勝機を見逃すな!』(2011年)にも編集協力として名を連ねています。歴彦氏が指揮をとった『角川インターネット講座』(全15巻、2014〜2015年)の応援企画(注16)でも、監修陣への取材・執筆を担いました。
そのうえで正直な実感を述べるならば、出版という産業が地殻変動に揺れ続けるなか、KADOKAWAは――歴彦氏のメディアミックスから、ネット企業との統合、夏野体制のオンデマンド出版や直接流通まで――節目ごとに一歩先を見据える選択を続けてきました。もちろん、この記事で述べたように副作用がなかったとは言いません。それでも、進もうとした方向そのものは、いま振り返ってもおおむね正しく必要な挑戦であったと個人としては考えています。業界が揺れ続けるなかでビジョンを示しつづけてきた、稀有な存在だった――そう言ってもいいのかもしれません。
6月24日に何が決まるか、時期が時期だけに、軽々に見通しを語るべきではないでしょう。ただ、結果がどちらに転んでも、KADOKAWAが示してきた「一歩先を見る」姿勢だけは、これからも手放さずにいてほしい。長く付き合ってきた一人として、そう願っています。
(注13)まつもとあつし「メディア維新を行く」連載(ASCII.jp)(注14)月刊『ダ・ヴィンチ』寄稿一覧(ダ・ヴィンチWeb)(注15)夏野剛氏へのインタビュー「体育系の人間はもう要らない!? 夏野剛氏に学ぶ、グローバル時代に必要な教育」(ITmedia、2014年1月14日)(注16)「『角川インターネット講座』(全15巻)応援企画」(ASCII.jp)

