■ ドッペルゲンガー、生霊、火事──復活初日に怪異が連鎖する夜
「観客ゼロ」というまさかの逆境から一転、ひとたび本編が始まれば、出演者たちによる容赦のない“本物の実体験怪談”が会場を支配した。
トップバッターを務めたのは、初出演となる花ブービーの水上あめんぼだ。大学時代の金縛りから現在進行形の怪異を語ると、続く夫婦ミウラは実家の焼肉屋で起こったヒトコワと心霊が入り混じる不可解な出来事を淡々と披露。この物件の話題から、和田が自身の凄まじい事故物件の実体験話を被せ、会場の空気が一段と沈み込んでいく。
ここから、話はさらに生々しいタブーの領域へと踏み込んでいく。相手の「生霊」が普通の人間と全く同じようにはっきりと見えてしまう特性を持つ本田兄妹のあやのは、自身のラジオ番組では決して放送できなかったご近所トラブルの“本当の核心”を初解禁。
その恐怖のピークにトドメを刺したのが國澤一誠だ。埼玉の心霊スポットでの生配信中に捉えた怪奇現象の動画をステージ上で公開しただけでなく、偶然渋谷で再会したという元カノの生霊が、実際の自身のイベント中の写真にハッキリと写り込んでいたという“逃げ場のない証拠写真”をスクリーンに投影。会場は静寂とざわめきが交互に押し寄せる最恐ポイントとなった。
主催の和田も、実家で母が“和田のドッペルゲンガー”に遭遇した話や、芸人同居時代に留守中にもかかわらず和田そっくりの人物が家を歩いていたという「ドッペルゲンガー和田」の自身の原点を披露。前半が終わったところで和田が「休憩を入れましょうか?」と声を掛けたが、國澤が「このまま続けたほうがいい」と即答し、観客も誰一人席を立たずに後半戦へ突入。
そこからは、誰かが話すと「実は私も…」と数珠繋ぎになる「怪談の連鎖」が始まり、和田家でやってはいけない掟など、死後も人間の感情が現代へ影響を及ぼす恐ろしい話が飛び交った。来てくれた客を一気に虜にするだけの強烈な熱量がそこにはあった。
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■ “怪談なのに居心地がいい”──恐怖と笑いが同居する芸人怪談の空気
普通であれば、これだけのタブーと恐怖が続けば客席は疲弊し、空気は重苦しくなる。しかし、新・怪談祭りが唯一無二である理由は、怪異のガチ度が高すぎるからこそ発揮される、芸人ならではの凄まじい「緩和(お笑い)」の力だ。
象徴的だったのは、水上あめんぼが怪異を証明するために自作の「カラーコピーの怪異写真」をステージで掲げたシーンだ。おどろおどろしい怪談の最中、和田と國澤がすかさず「会場にはモニターっていうものがあってね…」「カラーコピーじゃなくても大きく見せられるよ」と優しいツッコミを炸裂。客席はふっと温かい笑いに包まれ、恐怖が極上のエンタメへと昇華された。
後半戦では、12年前からイベントを支えてきたレギュラー陣が、新ゲストである夫婦ミウラと水上あめんぼの2人を決して孤立させず、自然と話の輪の中へ招き入れる姿が印象的だった。特に、國澤一誠が水上あめんぼにそっと耳打ちし、それに応えるようにあめんぼが自ら話を切り出した場面は、怪談の最中とは思えないほど温かく、ほほえましい瞬間だった。恐怖を語りながらも互いを尊重し、支え合い、笑い合う──彼らの人柄が生む温かい空気感が、終始、会場の居心地の良さを担保していた。
