全ては改憲のために
2月の衆院選で自民党は歴史的大勝を果たしたが、参院は与党で過半数割れのままだ。言うまでもなく、憲法改正は衆院と参院の総議員の3分の2以上の賛成で「発議」し、国民投票で「有効投票の過半数」があれば承認されると定めている。
与党が圧倒的な議席数を占める衆院はクリアできるとしても、参院は今のままでは叶わない。そのため、参院で国民民主党を「改憲派」として取り込むことが大前提となる。
首相と自民党幹部は、定数削減法案の扱いをめぐり国民民主党の反発を考慮する必要があるとの認識で一致していた。
強引に定数削減を実現すれば連立入りに向けた協議はもちろん、憲法改正へのプロセスでも同党の協力を得られなくなると判断したからだ。
だが、それでは連立パートナーの維新の立場がなくなる。そのため「副首都構想」関連法の成立に全力をあげ、維新側の理解を得ていくことにしたのである。すべては、首相が成し遂げたい憲法改正のためと言っても過言ではないだろう。
首相が描く「改憲スケジュール」はどのようなものなのか。それは、遅々として進まない物価高騰対策と比してスピード感のあるシナリオと言える。
4月の自民党大会で「立党から70年、時は来た。国会で議論を進めていこう」と呼びかけ、憲法改正の発議にメドをつけたい意向を示した。その具体的時期はわからなかったが、実は首相は来年早々から動きだそうとしている。
想定される改憲へのスケジュール
想定される流れは次の通りである。首相は来年はじめの自民党大会で「1つの宣言」を打ち出すことを考えているようだ。それは、衆院と参院で3分の2以上の賛成を得て憲法改正の発議を行い、国民投票にかけるという強い意志を党大会で表明することになる。
国民投票で有効投票の過半数の賛成があれば、天皇が憲法改正を公布し、正式に成立される。高市首相にとっては首相在任中の憲法改正こそが「悲願」なのだ。
こうした点を踏まえれば、自民党内の権力争いや与野党の駆け引き、さらに言えば円安進行や物価高騰も「小さなこと」と映るかもしれない。
これからの政権運営や法案の取り扱い、予算編成や税制改正などはすべて「憲法改正」をにらみながら首相は臨むことになるだろう。与党の維新はもちろん、野党の国民民主党が反発するような施策は打ち出せないはずだ。

