歳出削減の具体額もなく「財政は大丈夫」と言っても信用ない
2日間で10年国債利回りは0.185%上昇し、20年国債は0.28%上昇した。30年国債と40年国債も約0.4%上がり、40年国債は4%を超えた。市場が警戒したのは、減税そのものより、財源を示さず穴埋めを国債に押し付ける姿勢だった。
第3波が2026年7月である。骨太の方針の原案から、積極財政を続け、日銀の利上げにも慎重だという印象が広がった。7月8日から9日にかけて10年国債利回りは2.88%前後へ上がり、30年国債は4%を超えた。
政府は日銀の自主性を尊重するとの文言を加え、最終案には債務残高対GDP比の安定的低下も盛り込んだ。だが、歳出削減の具体額を示さず、「財政は大丈夫だ」と言葉を重ねても信用は戻らない。
ここで日銀は逃げ場を失う。国債を買い支えれば円安圧力が強まり、輸入物価を押し上げる。利上げをすれば国債利回りが上がり、借換えが進むにつれて政府の利払い費も増える。ガソリン減税で下げた物価を、積極財政と円安が再び押し上げる。
英国では2022年、財源のはっきりしない大規模減税で国債と通貨が急落し、年金基金の国債売却が混乱を増幅した。高市ショックがこの「トラスショック」と比べられるのは、減税したからではない。歳出を削らず、国債で穴を埋めようとしたからだ。
一気に壊れる危機ではないが財政への不信が積み上がっている
日本の崩れ方は英国より遅い。日銀が国債購入を減らす一方、国内投資家は超長期国債を以前ほど買わず、財政への不信が積み上がっている。一気に壊れる危機ではない。少しずつ信用を失う「スローモーションのトラス化」である。
高市政権が今すべきことは明確だ。ガソリン減税を維持し、消費税減税を実行する。同時に、減税額を上回る歳出削減を行う。
補助金をやめ、効果の分からない基金を廃止する。民間企業への個別支援を切り、官民ファンドを整理する。成果の出ない地方創生事業を終わらせ、国と地方の重複事業をなくす。
必要なのは新しい財源でも新しい国債でもない。既存支出を削る政治決断である。
高市政権は半分正しい。ガソリン減税を実行し、消費税減税にも道を開いた。国民の手取りと購買力を増やす方向は正しい。
残り半分は完全に間違っている。減税と同時に政府支出まで増やし、成長すれば借金の重さは薄まると考えている。積極財政は成長政策ではない。政治家と官僚がドブに捨てる金を増やす政策である。

