アップルのパッケージを一新させた秘密のラボ
そんな中、今回取材することができたのはアップルの『パッケージングラボ』という設備だ。ちなみに、パッケージングラボの取材は日本初。正確な記録がないので断言できないが、世界でも初めてなのではないかとのこと。
場所は非公開とのことだが、Apple Parkからさほど遠くないクパチーノ市街にあるオフィスビルの中にある。ちなみに、Apple Parkは約1万2000人を収容するそうだが、アップルの社員は想定を超えて増え続けており、現在およそ5万人とのこと。Apple Parkにはとても入り切らない。だから、。実はクパチーノやサニーベールには、Apple Park以外にも数多くのアップルのオフィスがある。クルマで走っていると、そこここに青いアップルマークを掲げるオフィスがを見かける。もちろん、秘密主義のアップルとあって、どこのオフィスが何をやってるかは非公開だが。
このパッケージングラボは、アップル製品のパッケージデザインの開発に取り組んでいる。
取り組みのひとつは、リサイクル性を高めるためのリデザイン。つまり、パッケージからプラスチックを廃し、すべてを紙を中心としたリサイクル性の高い素材に置き換えていく活動。これは昨年、2025年に達成された。
もうひとつは、その上でいかに製品を傷つけず、完全な状態でユーザーの元に届けるかの工夫。そのために、衝撃吸収テストや、振動テスト、高温、低温、高湿度などの状態でのテストが行われている。もちろん、アップルらしい美しさ、『開けた時の歓び』を、できる限り維持したままリサイクル性と耐久性を確保したいということだ。
もちろん、輸送時のCO2排出のことを考えると、パッケージはできるだけコンパクトな方が良い。それらの課題を達成するために、研究開発を続けているのが、このラボなのだ。
以前のパッケージと比較してみて欲しい
まずは、2009年の初代Magic Mouseのパッケージと、現行Magic Mouse(USB-C)のパッケージを見比べて欲しい。

昔のパッケージはクリアのプラスチックを使っており、Magic Mouseの透明感、優しい曲線をよく表現していたが、プラスチックはリサイクルできない。現行の箱は、紙でできており、100%リサイクル可能だ。
こちらはiPhone 5の箱。ワクワクして開けた記憶がよみがえる人も多いと思うが、外側は ポリプロピレンのシュリンクラップに包まれており、ケーブルやアダプターも透明フィルムでカバーされていた。EarPodsはプラスチックのケースに入っていた。

最近買ったiPhoneのことを思い出して欲しい。これらのプラスチック系の素材はいずれも廃されている。外側のパッケージはチップ型のシールで封印されており、余って廃棄されることも多くなったイヤフォンや充電アダプターは省略され、ケーブルは紙でできたホルダーに巻かれている。

写真右側のiPhone 13 Proの時から、それらのプラスチック素材が廃され、紙ベースのパッケージになっている。ディスプレイを守るためのフィルムも紙素材だ。
EarPodsを別途購入した場合も、巻き付けられているのは紙のケースだ。

また、各国仕様の紙の印字も、初期はプリントしたステッカーが貼られていたが、現在は箱に直接印刷されている。
表面のコーティングを最初にレーザーで荒らして、印刷が乗りやすくするのがこの技術のキモだ。