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『スマートグラスの次のステップ』がどうなるかを、Even Realitiesのウィル・ワンCEOに単独インタビュー

カメラを付けて他人に不安を感じさせるデバイスにしたくない

——Meta Ray-Banや、Rokidなど、カメラ付きのデバイスも人気を博しています。一方、それらを装着して街に出ると、カメラが装備されていること自体が心理的抵抗(私は写真を撮る気はないのに……)を生むことがあります。

一方、AI利用においては、「今、私が見てるものについて解説して」「(読めない外国語のメニューを見ながら)この中で私が気に入りそうな食べ物は何?」というような、視覚を使った活用に便利さがあります。

現時点ではEven Realitiesは『カメラなし』の路線を選んでいますが、将来的にはどうなるのでしょうか?

現時点で当社は、スマートグラスにカメラを載せることに対して、かなり明確に反対の立場をとっています。もちろんカメラが有用な場面があることは理解しています。しかし同時に、人々の間に不信を持ち込みもします。

『自分は誰かに撮影されているのではないか』という不安。すでに、公共の場でグラスのカメラを非常に不適切に使う事例も出ています。だからこそ、いまスマートグラスにカメラを載せるのは責任ある姿勢ではないと感じています。このカテゴリーはまだ黎明期であり、世間がこのカテゴリーを信頼できるかどうかがとても重要です。

スマートグラスを見て不快に思う人が出れば、『スマートグラスを着けている人自体が嫌だ』となりかねません。『スマートグラスは他人の権利を軽んじる道具ではなく、自分自身を助けるためのデバイスなのだ』と受け止めてもらいたいのです。これも、いまカメラ搭載に強く反対している理由です。

将来的にはEven Realitiesのスマートグラスにカメラを搭載する可能性もありますが、それは、適切な規制やルールが十分に整い、プライバシーがきちんと守られると人々が安心できるようになってからのことです。

毎日着けるものだからこそ、使うときに心理的な負担を感じさせたくありません。ある場所で急に『自分も、周りの人も心地よくない』と感じるような事態は避けたい。だから少なくともここ数年は、カメラを装備しない方が望ましいと強く考えています。もちろんカメラ付きグラスがあってもよいのですが、それは通常のグラスのように毎日着けるものではなく、適切な場面――子どもと外出して楽しむとき、犬の散歩のときなど――に限られるでしょう。日常の仕事のためのものではありません」

最大の競合はMeta、そして近い将来のアップル

——今、スマートグラスが非常に大きな注目を浴びています。Even G2は非常に人気ですが、ライバルだと捉えている他社のスマートグラスはありますか?

「現時点で最大の競合はMetaです。ただし方向性の異なるグラスを作っています。とはいえ同じカテゴリーにいて、『カテゴリーの定義』をめぐって競争していると言えます。当社としては、スマートグラスといえば反射的に『Meta Ray-Ban のこと、つまりカメラとスピーカーが付いていて写真を撮るもの』と連想されるようになって欲しくありません。

『Meta Ray-Banだけではない、別の方向性もある』と知ってもらいたい。日常の生産性を高めるために作られ、プライバシーをより重視した方向性です。Meta は当社に最も近い競合の一つで、彼らもディスプレイ付きスマートグラスに取り組んでいます。ただ、リリースされたディスプレイ版はあまり成功しておらず、重すぎて実用的とは言えません。とはいえ、より軽量なバージョンも準備中だと聞いており、今後、両社の競争はますます激しくなるでしょう。

そして将来、当社にとって最大の競合になるのはやはりアップルだと考えています。アップルはまだ製品を持っていませんが、開発を進めています。来年、おそらくMeta Ray-Banに近い、カメラとスピーカーを備えディスプレイを持たない製品を出すでしょう。さらにディスプレイ付きのバージョンにも取り組んでおり、こちらは2〜3年ほど先になるとみています。その時には、アップルも当社の直接の競合になります」

Even G3に相当するモデルは、まだしばらく出ない

——Even Dayで、次期モデル、つまり『Even G3』についてウィルさんが語ったと聞きました。あたらめて、G3の仕様、発売想定次期について教えて下さい。

「Even Day で同じ質問を受け、少しだけ触れたところ、報道各社が一斉に『CEOがG3について語った』と書いてしまいました。これは当社のお客様にとって、あまり良いことではありません。まだ次期モデルはそのような名称になるかどうかも分かりませんし、発売時期はそれほど近い未来ではありません。

とはいえ、全体としてより良い体験づくりに取り組んでいるのは間違いありません。そのひとつが、グラスとのやり取りをさらに簡単にすることです。現状でも十分に使えますが、完全なシームレスとは言えない場面が多くあります。たとえば翻訳機能を使っているとき、ちゃんと動いているのか分からず、結局スマートフォンを確認してオンにする、といった具合です。今のところ、Even G2の動作の細部はまだ完璧ではないと考えて改善に努めています。

『本当に使いやすい』と感じられるよう、この点の解決に強く注力していきます。あなたのご両親など、高齢の方に渡しても、すぐに使い方が分かる――そこを重視して最適化していきます。

次期モデルはそれほど早くは出しません。今のところG2で十分に良いからです。私たちはプライバシーを最優先し、本当に信頼できるスマートグラスづくりに専念していきます。ブランドを信頼でき、製品を信頼でき、そして周囲の人も『Even Realitiesのグラスを着けている人』を信頼できる――そこを目指して取り組んでいきます

このインタビューを可能とした、かなり実用的な翻訳機能

冒頭に述べたように、このインタビューはEven G2の翻訳機能を使って行なった。つまり、多くの人がEven G2を使うようになれば、言語間の敷居は大きく下がるということだ。通訳の方の助けを借りたりして、数多くのインタビューを行なってきたが、デバイスの機能だけで完全にインタビューが成立したのは初めての体験だ。

音声を使う翻訳デバイスだと、相手のライブの声が聞こえなくなるし、スマホの文字翻訳だとスマホを見なければならなくなる。それらの方法では、目線やうなずきやジェスチャーなど非言語のコミュニケーションができなくなってしまう。対して、Even G2はデバイスによる翻訳と非言語コミュニケーションを併用できるのが大きい。

もちろん、ウィルCEOと、筆者の両方がEven G2の翻訳機能を使い慣れているというのもある。言語の通じない相手と話しながら、目の前に浮かぶ緑色の文字を読むのは簡単な作業ではない。また、互いに翻訳されやすい文体で話し、翻訳が表示される間を取る……というようなコツもあると思う。

しかしながら、筆者にとってデバイスの翻訳だけで行なった初めてのインタビューではある。おそらくい相手が協力的でさえあれば、フランス語や、スペイン語、中国語など、筆者の全然理解していない言語でもインタビューは可能だと思う。多くの人が、Even G2のようなデバイスを使いこなす世界になるといいなと思う。

ぜひ、試してみて欲しい

一方、インタビュー中でウィルCEOが語ったように、まだ完全でない部分もあって、取材中に私のEven G2の動画が重くなり、翻訳のタイミングが遅れ気味になったので再起動したりもした。ウィルCEOが相手だから、「申し訳ないけど、再起動するまで待って」と言えるが、通常のインタビューだとそうもいかない。つまりは、ウィルCEOの言う通り、もう少しの洗練が必要ではある。

ともあれ、現時点では、Even G2はもっとも実用的なスマートグラスだと筆者は思う。翻訳、テレプロンプト(プレゼンなどで話す時のカンペ)、Even AIを呼び出して質問する……などの用途については非常に実用的である。また、Even Hubでリリースされている機能で、自分の用途に合うものがあれが、それも実用的に使えるだろう。ちょっとしたポモドーロタイマーや、ウィルCEOの話していたBooksなどのアプリも実用的だ。探してみればもっと自分の使い方にフィットする使い方があるかもしれない。

試用出来る店舗も少しずつ増えつつあるので、ご興味のある方はぜひお試しいただきたい。

(村上タクタ)

配信元: Dig-it

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