もし親が認知症になったら?お金の管理方法や注意点を解説!

親が認知症になって自分で金銭管理ができなくなったとき、どうしますか?今回は、本人に代わって通帳やお金の管理をできるようにする「成年後見人」や「日常生活支援事業」を解説します。親が認知症になる前にしておくべきことが分かるでしょう。

離れて暮らしている家族にも安心!「日常生活支援事業」

以下の条件に当てはまる人は、各市町村の社会福祉協議会が行っている「日常生活支援事業」の支援を受けることができます。

・判断能力が不十分な人(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等であって、日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手、理解、判断、意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な人)
・本事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる人

社会福祉協議会に事業の利用を申請して認められると、専門職員による定期的な訪問が受けられるほか、必要に応じて「日常的金銭管理サービス」や「書類等預かりサービス」といったサービスも受けることができます。ただし、サービスの利用には原則として一定の費用がかかります。

日常的金銭管理サービス

「日常的金銭管理サービス」は、週1~2回の頻度で自分の預金口座から現金を引き出してきてもらい、自宅で受け取ることができるサービスです。市町村によっては、税金や公共料金・保険料などの支払いの手続きの代行を頼めるケースもあります。サービスの利用には利用者の所得に応じて、0円~1万円/月程度の利用料が必要です。有料ではありますが、信頼できる職員が本人の預金口座から生活費を引き出して来てくれるので、離れて暮らしている家族にとっても大変便利なサービスだと言えるでしょう。

書類等預かりサービス

日常生活支援事業では、日常的金銭管理サービスで使う預金通帳や銀行印、年金証書や権利書、保険証書などの重要書類を預かる「書類等預かりサービス」も提供しています。書類等の保管は原則として金融機関等の貸し金庫で行い、毎月数百円~千円程度の費用がかかります。

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両親が認知症になるまえにしておくべきことは?

成年後見制度を使わずに家族のお金の管理ができる方法を紹介しましたが、いずれも認知症が重篤化してしまい、本人の判断力や理解力が完全に失われてしまった場合は、利用できません。認知症は誰にでも罹患する可能性のある疾患です。家族が認知症になる前に、あるいは認知症が悪化する前に、今後のお金の管理の方法について話し合い、方針を定めておくことをおすすめします。「お金のことは聞きづらい、話しづらい」という人には、間接的に親の意思を確認できる以下の2つの方法をおすすめします。

エンディングノートを活用する

エンディングノートは、自分に万が一のことが起こった時に備え、家族や知人・友人に伝えたいことを書き留めておくノートの総称で、一般の書店などでも購入することができます。書式や内容は様々ですが、中には財産の内訳や、その使いみちについての希望などを記載するページを設けているものもあります。何かの機会に、さりげなくお金に関する希望や意思を確認するのも良いでしょう。ただし、エンディングノートには遺言のような法的な効力はないことに注意が必要です。

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信託銀行に相談する

信託銀行とは、銀行業務に加え、顧客の金銭や土地などの財産を運用・管理する「信託業務」を行う銀行です。信託銀行では、万が一、契約者本人が認知症などで判断能力が低下した場合に、予め指定しておいた代理人(家族など)が信託財産を引き出せる商品が用意されています。こういった商品について説明を受けることで、認知症になったときのお金の管理について親自身が考えるきっかけが生まれるかもしれません。

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また、将来のお金の管理の方法について話し合う際に、信託銀行の担当者に同席してもらうのも良い方法です。親子だと感情が邪魔をして冷静な話し合いができない場合も、専門家の客観的な意見やアドバイスなら素直に受け入れてくれるケースも多いものです。

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