相続した土地の売却にかかる税金はいくら?税金の計算方法や相続税対策

相続した土地を売却する際は多額の税金がかかるので、相続税の負担を軽減したいと考えている方も多いのではないでしょうか。今回は、相続した土地を売却した際にかかる税金や費用のシミュレーション、さらに税金の特例や「長期譲渡所得金額」「短期譲渡所得金額」の違いについても解説します。

特例で売却時の税金が安くなることも

相続した土地を売却する際には、次の特例を利用すれば、税金が安くなることもあります。

相続税の取得費への加算の特例

相続した土地・家屋を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限(死亡日から10ヶ月)の翌日以後3年を経過する日までに売却したときには、売却した土地・家屋に対応する相続税を取得費に加算できます。
その土地・家屋を相続し、相続税を課税された相続人が、売却するときに適用されます。

居住用の土地・家屋を売却したときの特例

相続した土地・家屋に相続人が居住していたら、譲渡所得金額から3千万円の特別控除が適用されます。譲渡所得金額が3千万円に満たないときには、譲渡所得金額が上限となります。長期譲渡所得でも短期譲渡所得でも適用されます。また、所有期間が10年を超える居住用の土地・家屋では、適用要件を満たせば軽減税率の適用や買い換えの特例などが適用されます。

軽減税率の適用例として、マイホームを売った年の1月1日現在で、そのマイホームの所有期間が10年を超えている場合は、(1)3,000万円の特別控除の特例を適用した後の課税長期譲渡所得金額に対して、次のとおり軽減された税率で税額を計算することになります。

注:確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになります。

したがって、10年を超える居住地を相続する場合は、より有利な税率が適用される場合があるので、適用条件に当てはまるかどうかよく確認するようにしましょう。

被相続人が居住していた空き家を売ったときの特例

現在、各地で社会問題となっている空き家を解消するために設けられた特例です。被相続人が相続の開始直前まで居住していた家屋や土地を売却したときに、譲渡所得金額から3千万円の特別控除が適用されます。
この特別控除を受けるためには、2016年(平成28年)4月1日から2023年(令和5年)12月31日までの売却で、次のような要件を満たすことが必要です。

・売却する家屋は1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されている。また、耐震基準に適合している。
・売却する家屋は、区分所有建物登記がされている建物でない。
・相続の開始の直前に被相続人以外に居住をしていた人がいなかった。
・相続の開始があった日から3年目の年の12月31日までに売却する。
・売却代金は1億円以下。
・売った家屋や土地について、相続財産を売却したときの取得費の特例など他の特例の適用をしていない。
・同被相続人から相続した被相続人の他の居住用の土地・家屋に、同特例を適用していない。
・親子や夫婦、内縁の関係にある者など、特別の関係にある人に売却していない。

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まとめ

相続した土地を売却した際にかかる税金やその計算方法、税金が安くなる特例について解説しました。税金の特例には適用要件が設けられています。相続や相続した土地を売却する予定がある方は、どの相続人がどの土地を相続したら良いのか、売るタイミングはいつが良いのかなどを、早めに検討しておきましょう。

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高崎文秀

高崎文秀税理士事務所 代表税理士/株式会社マネーリンク 代表取締役。
2019年に独立開業し、法人・個人事業者の税務顧問・節税サポート、個人の税務相談・サポート、企業買収支援、税務記事の監修など幅広く活動中。また通常の税理士業務の他、一般社団法人CSVOICE協会の認定経営支援責任者として、業績に悩む顧問先の経営改善を積極的に行っている。