人生の三大資金とは?それぞれに必要な金額と具体的な貯め方、活用できる制度をご紹介

人生ではさまざまなライフイベントが発生しますが、中でも特にお金がかかるのが「子供の教育」「住宅購入」「老後生活」です。これらにかかるお金は「人生の三大資金」といわれています。

必要な金額は人それぞれですが、一般的に数百万〜数千万円と高額であり、準備に時間がかかりやすいため、計画的に積立をすることが大切です。

老後資金の目安

総務省統計局の調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における毎月の消費支出(食費や住居費、水道光熱費など)は224,436円です。一方、年金をはじめとした収入のすべてから、社会保険料や税金などを差し引いた可処分所得は、毎月205,911円であるため、ひと月あたり18,525円の赤字が発生しています。

65歳以上の単身無職世帯については、消費支出が132,476円、可処分所得が123,074円であり、赤字額は毎月9,402円となっています。

【参考】総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」詳しくはこちら

仮に老後生活が30年であるとするなら、赤字を補うために必要な資金額は夫婦世帯が約667万円、単身世帯が約338万円となります。ただし、これらはあくまで平均値をもとに計算した金額に過ぎません。

自助努力で準備する目標額は、老後の生活費や国からの年金受給額、退職金額などをもとに考えましょう。また、介護費用や持ち家のリフォーム費用、子供・孫への援助資金なども考慮するとより現実的な必要資金の目安を算出しやすくなります。

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老後資金の準備方法

老後資金の準備は、日常生活に支障がない範囲で早めに始めることをおすすめします。長い時間をかけて老後資金を準備すると、毎月の積立額が少なく済むためです。

仮に1,000万円の老後資金を準備するとしましょう。積立期間が30年であれば毎月の積立額は約2.8万円ですが、積立期間が10年しかない場合は約8.3万円となり、家計を圧迫しやすくなります。

老後資金を準備するときは、生命保険に加入する方法があります。例えば、個人年金保険に加入すると60歳や65歳などの年齢になったとき、一定期間または一生涯にわたって年金を受け取れます。

一方で、昨今の歴史的な低金利の影響もあり、預貯金や保険商品の利率はひと昔前よりも低下してしまいました。そのため、投資信託を毎月一定金額ずつ購入する積立投資をするのも選択肢の一つです。投資信託に元本保証はありませんが、20年や30年など長期間にわたって積立投資をすることで効率よく老後資金を準備できる可能性があります。

持ち家がある人は「リバースモーゲージ」を利用して資金を調達する方法があります。リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関からお金を借りられる商品です。借り入れをしたあとは基本的に利息だけを支払っていき、亡くなったときに担保である自宅を売却して借入金を返済します。

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老後資金の準備に活用したい制度

積立投資で老後資金を準備する際は「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」といった運用益が非課税となる制度を利用するとよいでしょう。

iDeCoは、毎月支払った掛金を投資信託や保険などで運用し、老後の年金を準備する制度です。掛金の全額が所得控除の対象である点が、iDeCoの主なメリットです。1年間で支払った掛金と同額が所得から差し引かれたうえで所得税や住民税が計算されるため、税負担の軽減効果が期待できます。

掛金は、毎月5,000円から1,000円単位で設定できます。日常生活や子供の教育、住宅ローンの返済などに支障がない範囲で掛金を設定し、老後資金の準備を少しずつはじめるとよいでしょう。ただし、iDeCoで積み立てたお金は、原則として60歳になるまで引き出せない点には注意が必要です。

他にも、勤務先の「財形年金貯蓄」を利用して給与やボーナスからの天引きで資金を積み立てる方法があります。積み立てたお金は、60歳以降に年金として受け取れます。また、財形住宅貯蓄と合わせて貯蓄残高550万円までの元本と利子が非課税となるのも特徴です。

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まとめ

人生の三大資金とは「住宅資金」「教育資金」「老後資金」のことであり、いずれも高額です。特に老後資金は、すべての人が準備すべきといっても過言ではありません。預貯金や生命保険、投資信託など資金の種類に応じた方法を選び、計画的に準備していきましょう。

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品木彰

フリーライター・2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
大手生命保険会社にて7年半勤務し個人営業と法人営業の両方を経験のちに、人材会社にて転職エージェントとしての勤務を経て、2019年1月に独立。保険や不動産、資産形成・資産運用、税金など幅広いジャンルの記事を執筆・監修している。