ウォーキングをしたりメガネを使い分けたり

今も月に1~2回は鎮痛剤を飲みますが、自分でも工夫や努力をして、頭痛はずいぶん軽減してきました。

まず、週に1回整体に行き、肩と首をほぐしてもらっています。あと、ウォーキングすると頭痛が減ります。要は、血が巡ると楽になる。その方法が、人にもんでもらうか、自分で動くか、ということですよね。

僕はたぶん、すごく血流が悪いんです。たまにジョギングをすると、わき腹や腕が猛烈にかゆくなる。これは皮膚表面の毛細血管にバーッと血が巡ることによるかゆさだと思うんです。内側からのかゆみなので、皮膚をかいても治まらない。ふだんから血流をよくしておけば、かゆくならないんですかね。

以前、作家の津村記久子さんと頭痛の話をしたときに、「度の弱いパソコン用メガネと、ふだん用メガネの2個を使い分けている」と聞いたんです。それで、視力0.5くらいになる弱いメガネでパソコンを見るようにしたら、肩と首のコリがだいぶ楽になりました。

作家の森見登美彦さんは肩こり知らずなんですが、すごく姿勢がいい。僕や津村さんはネコ背なので、肩こりや頭痛はそのせいでしょうか。

もちろん、ストレスも関係あります。締め切り前は精神面への負荷に加え、長時間座りっぱなしで仕事をするので頭痛が起こりやすい。それに、じっとパソコンに向かっていると、「ああ痛い、やっぱり痛い」と、自分の感覚を反芻して、ますます痛くなる気がします。

天気との関係でいうと、僕の場合、雨が降る24時間前から頭が痛くなりますが、気圧と連動するかというと、そうでもない。気圧の変化を知らせてくれるアプリを試したことがありますが、僕の頭痛との相関はなかった。もっと遠いところの、よくわからない物が関係しているのかもしれません。

2年ほど前、目の奥がパーンと破裂するような痛みがきて、頭痛外来を受診しました。やっぱり脳には全く問題なかったのですが、そのとき先生に「頭痛のとき、どうしてます?」と聞かれました。

「いろいろ試した結果、自分にいちばん効くとわかった市販薬を飲みます」と答えたら、「そうやって、頭痛とのつきあい方が確立できているなら大丈夫。こちらから薬を出す必要もありません」といわれたんです。

頭痛って、みんなそれぞれ違うんだと思います。例えば、整形外科の待合室は高齢者やスポーツ少年が多いとか、傾向みたいなものがあるじゃないですか。でも、頭痛外来は、ほんとうにランダムな老若男女。「こういう人は頭が痛くなる」という共通点が、全くわからない。

だから、頭痛外来の先生は、自分の状況を把握するために日記を勧めるんでしょうね。僕はつけたことないですけど、頭痛とのつきあい方を確立できているので、よしとしています。

この記事は『壮快』2022年10月号に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b610636.html