次の季節は何を作ろう?年月が経つのも悪くない

保存食作りは、瓶詰めにしたあとだけでなく、作る過程もまた楽しいものです。

例えば、よく行くスーパーや小売店で売り場の人と仲よくなれば、旬の食材の入荷状況や、おいしい食べ方を教えてくれることもあります。店員さんとのおしゃべりは、仕事のうえでも勉強になります。

いい食材を手に入れたら、新鮮なうちに、すきま時間を見つけて準備を開始。食材に向き合いながら、例年と違う作り方を試したり、より長くおいしく食べる方法を考えたり。そんな工夫を重ねて、うまくいったときの達成感も、季節の保存食を作る醍醐味でしょう。

レシピは、どんな保存食でもすでに、王道といわれるような作り方があります。それをヒントに調味料の量を加減すれば、自分好みの味に仕上がります。

品質を長く保つためには、塩漬けや砂糖漬けにするのが定番です。とはいえ、塩分や糖分を控えたいかたもいるでしょう。調味料を控えた場合は、瓶ごと冷凍するのもお勧めです。

急激な温度変化がなければ、食品用に作られた瓶は、そうそう割れません。中の食材が冷えてから冷凍庫に入れ、食べる前に冷蔵庫に移して解凍。こうしておけば、例えば秋に作ったいくらのしょうゆ漬けを、年が明けても楽しめるというわけです。

秋といえばもう1つ、毎年恒例なのが栗のペースト。いい栗が手に入ると、心が躍ります。皮ごと1時間近くゆでたら半分にカット。スプーンでくり抜くようにして中身を出し、網で裏ごしして、砂糖と合わせたら出来上がりです。ペースト状にしたほうが、栗そのもののおいしさが際立つように感じます。

トーストやお餅に塗って食べるほか、お客様がいらしたら、茶きん絞りにしてお出しすれば立派なおもてなしになります。

冬に向けての楽しみは、なんといってもユズでしょう。なかでも、皮の黄色い部分をすりおろして塩と合わせたユズ塩や、果汁を使って作るユズぽん酢が定番です。作っている間、さわやかな香りが台所中に広がり、疲れているときでも気分をリフレッシュできます。

仕込んでからの変化が楽しい保存食といえば、みそなどの発酵食品や、梅干し、梅酒など。食べごろまで待つ間も、「いい色になってきたな」と、まるでペットのように育てています。

手作り仲間と交換して、その年の出来を比べ合うのも一興。瓶に詰めて人にプレゼントしても喜ばれるでしょう。次の項では、秋にお勧めの瓶詰めを、2品ご紹介します。

季節が巡るたびに「次は何を作ろうか」とワクワクしているうちは、年月が経つのも悪くないと思えるのです。年を重ねても、気は若く保ちつつ、新たな食材との出合いを心待ちにしたいと思います。

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イチジクのシロップ漬け

材料(出来上がり目安量=350g)
イチジク…5個(正味280g)
グラニュー糖…110g(イチジクの重量の40%が目安。好みで調整可)
赤ワイン…大さじ4
レモン汁…大さじ2

❶イチジクは皮がむけないようそっと洗い、先端の軸を切り落とす。縦2つ割りにしてから、さらに縦半分~3等分に切り、ボウルに入れる。
❷小鍋にグラニュー糖と赤ワインを入れ、焦がさないよう注意しながら、中火にかけて煮溶かす。
❸半量になるまで煮詰めたら、①に回しかける。
❹そのまま1~2時間おき、水分が出たら汁だけを鍋に戻し、もう1度③をくり返す。
❺④の粗熱が取れたらレモン汁を合わせて完成。

保存
密閉容器に移して保存。冷蔵で1週間ほど日もちする。冷凍なら1ヵ月は保存が可能。食べるときは冷蔵庫で自然解凍する。