逆流性食道炎の治療に使われる代表的な漢方薬

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

生薬構成
半夏(はんげ) 、黄芩(おうごん)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)、人参(にんじん)、黄連(おうれん)、乾姜(かんきょう)

「気」が上から下に飲食物を運ぶ流れを助ける。半夏、大棗、人参、乾姜は胃腸パワーを上げる働き、黄連と黄芩は消炎作用がある。半夏が胃の中にたまった物を腸に排出する力を高めて、甘草が生薬の働きを1つにまとめることで、胃の排出を促進して胃酸逆流やゲップを抑える。

安中散(あんちゅうさん)

生薬構成
桂皮(けいひ) 、延胡索(えんごさく)、牡蛎(ぼれい)、茴香(ういきょう)、甘草(かんぞう)、縮砂(しゅくしゃ)、良姜(りょうきょう)

特に胃酸の分泌が多い人の胃痛に使われる。やせ型で体力が低下し、腹部の筋力がない人の胃痛や胸やけ、吐き気、食欲不振などにも用いられる。神経質な人に向く薬とされていて、ストレスによる胃付近の膨張感や不快感にも利用される。

牡蛎と甘草以外は胃を温める働きがあり、精神神経性の消化器疾患に効果が期待できる。桂枝、茴香、縮砂、良姜は胃の機能促進に、延胡索は鎮痛に、牡蛎は胃酸を中和し鎮静に働く。良姜は生姜と似た作用があり、鎮痛効果作用がより高い。

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複数の症状や既往症の治療内容も踏まえたうえで処方

漢方薬を利用するときは、ぜひ医師の診察を受けてください。

また、漢方薬を処方していても、なかには漢方医学が専門ではない病院があります。そうした病院に通院して症状が改善しないときは、漢方専門の病院に通院することをお勧めします。

受診せずに、市販の漢方薬で済まそうとするのはお勧めできません。というのも、漢方薬は本来、患者の症状を診て生活習慣などを伺い、複数の症状や既往症の治療内容も踏まえたうえで処方します。

人によって「証(しょう)」(体質や症状を示す指標)が異なるので、症状だけで、どの漢方薬を服用すべきかは決められないのです。

また、漢方薬はいくつかの生薬をミックスして作られますが、メーカーによってその配合量が異なります。医療機関では、患者の症状を診たうえで各メーカーの薬がどんな配合なのか考慮して、その人に適した漢方薬を処方します。

診療では、ストレスなど薬だけで対応しきれないことに対してアドバイスもします。こうしたことから、的確な漢方治療には、専門知識のある医師に判断してもらうことが重要です。