平均値、中央値は参考程度に


貯金
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先に紹介した中央値を参考にすると、400万~500万円ぐらいの貯金が目指すべき1つの目安となりそうです。ただ、あくまで参考程度にとどめておいてください。

FPへの相談の中でも「他の人はどうしていますか?」「平均はどれくらいですか?」と家計全般についてよく質問されます。ただ、同じ30代でも、同じぐらいの年収でも、それぞれ立場や状況は違いますし、価値観も異なります。将来のライフプランを考えた時、主人公はあくまでWさんです。

例えば、「貯金優先で趣味や外食をすべて犠牲にする」という生活を想像してください。何が何でも貯金優先というスタイルを望む人もいれば、そうじゃない人もいますよね。もちろん、今回のご相手のように浪費癖があり、ほとんど貯蓄がないのも困りますが…。あまり平均値や中央値にこだわると焦燥感に駆られて、常に我慢し続ける生活を送ってしまうことも考えられます。まずは浪費癖を直し、それから貯蓄体質にするといった具合に、2人で協力しながら無理ない範囲で少しずつ貯金してください。

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お金の貯め方より使い方の見直しを


ルール
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通常、お金を上手に貯めるには手取りの1~2割を先に貯蓄に回し、残った金額で生活をする「先取り貯蓄」が有効とされています。ただ、今回の場合、「浪費癖がある」ということなので、せっかく貯めたお金も途中で使ってしまう可能性もあります。よって、まずは「お金の貯め方」よりも「お金の使い方」に目を向けてください。

例えば頻繁に飲みに行きたくさんお金を使ってしまう傾向にあるのか、パチンコや競馬が好きなのか、高価なブランド品などに興味があり衝動買いをするのかなど。おそらく何らかの傾向があると思います。まずはその主たる要因から改善を試みてください。

一気に「無駄遣いゼロ」は難しいので、例えば「飲みに行くのはOK。ただし1カ月あたり〇円まで」といったルール作りが有効だと思います。加えて、「貯めたお金で旅行に行く」など近い将来に楽しい目標を設定するのも効果的です。しばらくは貯金が増えなくても、まずはこういった意識を変えるところから着手してみてください。焦らず長期的に向き合うことが重要だと思います。