がん保険の選び方とは?選ぶ際の4つのポイントをわかりやすく解説!

厚生労働省の「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、死因順位の第1位は悪性新生物(がん)となっています。 

令和4年の死亡者数のうち、全体の約24.6%が悪性新生物(がん)で亡くなっており、およそ4人に1人の割合でがんが原因で死亡しています。 

参照:第6表 死亡数・死亡率(人口10万対),死因簡単分類別|令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

がんの治療は長期化しやすく、それに伴い医療費も高額化しやすいことが特徴です。

そうした経済的なリスクに備えるための保険が「がん保険」です。

この記事では、加入目的から分かる適切ながん保険の選び方、選ぶ際の注意点についてわかりやすく解説します。

がん保険を選ぶ際の4つのポイント

保障内容

保障金額

保障範囲

保障期間

がん保険はいらない?必要性やメリット・デメリット、不要な人の特徴まで解説

がん保険に加入する3つの目的

がん保険は、がんに罹患した場合の経済的な負担を保障するために加入する保険です。

その目的を大別すると、次の3つの目的に分けられます。

がん保険に加入する3つの目的

がんの手術費や入院費

長引くがんの治療費

がんによって働けなくなった時の収入減少

「がん」といっても、どのようなリスクに備えたいのかによって、加入すべきがん保険は異なります。

まずは、がん保険に加入する目的を理解した上で、自分に合ったがん保険への加入を検討しましょう。

がんの手術費や入院費

がん保険の主な加入目的として「がんの手術費や入院費への備え」が挙げられます。

がんの手術費や入院費に備えることを主な目的とする場合、一般的ながん治療の平均費用を把握しておくことが大切です。

厚生労働省が公開する「医療給付実態調査」の結果を参照すると、令和2年度の部位別がん治療の平均費用は、次のとおりとなっています。

※点数÷件数で計算された結果の小数点第一位を四捨五入した数値を掲載参照:令和2年度医療給付実態調査(表番号5 統計表第3表)|厚生労働省

上記のデータは、公的医療保険が適用された後の自己負担分の平均です。

日本では公的医療保険が整備されており、誰もが1〜3割の医療費負担で高度な医療を受けられますが、それでもがん治療の平均費用はかなり高額なことがわかります。

がん保険に加入すれば、診断一時金や通院給付金など、さまざまな保障が受けられるようになるので、がん治療における経済的なリスクをカバーするのに役立ちます。

長引くがんの治療費

がんの治療は他の病気と比べて長引く傾向があります。

がんの治療方法は、「手術療法」「化学療法」「放射線療法」の3種で行われることが多く、過去は手術療法を中心に治療が行われていました。

しかし、近年では「化学療法」や「放射線療法」が進歩しており、通院でのがん治療を選択する人が増えてきています。

たとえば、厚生労働省の「令和2年(2020)患者調査の概況」によると、がん患者の平均入院日数は約18.2日です。

また、がんは再発のリスクが高いため、トータルでの入院日数が長引いてしまう可能性が考えられます。

通院治療が長期化しやすいがんに対しては、がん保険で手厚く保障を備えておきましょう。

がんの治療費用の平均はいくら?自己負担額も含めて解説します!

がんによって働けなくなった時の収入減少

がん保険に加入する目的として、「がんが原因で働けなくなった時の収入減少に備える」ことも忘れてはなりません。

会社員や公務員の人が加入する健康保険には、病気やケガなどの理由で働けない期間を保障するために「傷病手当金」が支給されます。

傷病手当金とは、下記の条件を満たした場合に「標準報酬日額の3分の2」が支給される健康保険の制度です。

傷病手当金の支給条件

業務外の事由による病気やケガで療養中であること

労務不能と医師に判断されていること

連続する3日を含む4日以上就労できないこと

休業期間中の給与支払いがないこと

標準報酬日額とは、傷病手当金の支給開始日以前の継続した12ヶ月の平均標準報酬月額を30日で等分した場合の金額です。

たとえば、標準報酬月額が20万円の場合、20万円÷30日×2/3という計算式から、1日あたり4,447円の傷病手当金が支給される計算となります。

よって、会社員や公務員の方は、傷病手当金でカバーしきれない不足分をがん保険で補いましょう。

しかし、自営業やフリーランス、学生、専業主婦などの国民健康保険の加入者は、傷病手当金のような制度はありません。

国民健康保険に加入している場合は、会社員や公務員より手厚い保障を備えたがん保険を検討しましょう。

傷病手当金とは?退職後の支給条件や申請方法、支給日などをわかりやすく解説!

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がん保険を選ぶ際の4つのポイント

がん保険を選ぶ際は、次の4つのポイントを重視して比較検討するのが良いでしょう。

がん保険を選ぶ際の4つのポイント

保障内容

保障金額

保障範囲

保障期間

1. 保障内容

がん保険には、がんと診断された場合の「診断給付金」や入院日数に応じて支給される「入院給付金」、所定の手術を受けた際の「手術給付金」など、さまざまな種類の給付金があります。

※1 公的医療保険制度の給付対象のみが適応となるタイプと、自由診療治療のものでも適応されるタイプなど商品により異なります※商品により、付帯できる特約や、内容が異なる場合がございます

がん保険は様々な保障が選べるので、がんに罹患した場合を想定して、自分がどのようなリスクに備えたいのかを検討しましょう。

たとえば、がん保険の種類によっては、がんと診断された場合の診断給付金が1回しか支給されない場合もあれば、「無制限」や「回数制限あり」で給付される場合もあります。

2. 保障金額

がん保険の保障額は、保険加入時に自身で決められるケースが一般的です。

保障金額を手厚くしておけば、万が一がんと診断された場合でも安心ですが、その分毎月の保険料は割高になります。

生命保険文化センターの調査によると、がん保険・がん特約の入院給付日額の平均額は、以下のとおりです。

がん保険・がん特約の入院給付日額の平均

世帯主:11.5千円

配偶者:9.7千円

参照:〈図表Ⅰ−39〉ガン保険・ガン特約の入院給付金日額|2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉41ページ|生命保険文化センター

がん治療には、「公的医療保険」や「高額療養費制度」「傷病手当金(健康保険のみ)」などが利用できます。

がん保険の給付金額を決める際は、貯蓄額や不労所得の有無、配偶者の収入の有無などを考慮しながら、公的医療保険制度で補填できない分の金額をカバーすることを心がけましょう。

3. 保障範囲

がんには大きく分けて「悪性新生物」と「上皮内新生物」の2種類があります。

がんの種類

悪性新生物:粘膜筋板を超えて浸潤しているがんのこと。他の臓器へ転移するリスクがある

上皮内新生物:上皮に留まっているがん細胞のこと。転移の可能性が低い

がん保険の中には、上皮内新生物と診断された場合に給付金の支払対象外または保障額が低くなるケースがあります。

がん保険を選ぶ際は、上皮内新生物と診断された場合にも保障が適用されるかどうかは事前にしっかりと確認しておくようにしましょう。

上皮内新生物(上皮内がん)と悪性新生物(がん)の違いは?わかりやすく解説します

4. 保障期間を決める

がん保険の保障期間には、「終身型」と「定期型」の2種類があります。

それぞれのメリットとデメリットは、次のとおりです。

一般的に、終身型のがん保険に加入していれば、毎月固定の保険料で一生涯の保障を受けられるようになります。

ただし、終身型の保険料負担は定期型よりも重くなりがちなので、加入時の保険料を安く抑えたい場合には定期型を選ぶのが良いでしょう。

一方、定期型には保険期間満了後に保障がなくなってしまうという大きなデメリットや、保険契約を更新できたとしても保険料が高くなってしまうという特徴もあります。

これらのメリットとデメリットを見比べて、自身の希望に合致するがん保険を選ぶようにしましょう。