機械式駐車場でのトラブルを防止するための対応策

機械式駐車場でのトラブルを防止するために、設置者側(駐車場の設置、仕様の決定する建築主など)は早期に安全対策に取り組む必要があります。
ここでは、設置者側が取れる対応策について紹介しましょう。

最適な種類を選ぶ

機械式駐車場の設置環境は様々です。
設置場所や使用条件、気象条件、利用者の特性などを考慮する必要があります。
考えられるケースとして以下のようなものがあります。

【設置場所・気象条件に配慮が必要なケース】
・沿岸地域:塩害対策/防錆処理がされた装置の設置
・豪雪地帯:積雪対策/融雪剤による錆び対策、雪解け水対策(雪解け水用のタンク設置、センサー類にカバーをつけて保護など)

【使用条件や利用者の特性に配慮が必要なケース】
・車いす使用者への対応:車いす利用者が移動しやすい通路の確保、車いすに対応した段差のない装置の設置
・自動二輪車への対応:転倒防止用に自動二輪車用の搬器を設置

駐車場周辺に柵を設置する

利用者・外部者ともに、機械式駐車装置に巻き込まれて大きな事故につながるケースが発生しています。
設置者は、外部からの侵入ができないよう装置の出入口や周辺に柵や外壁を設置することも検討してみましょう。
また、装置に設置する柵や外壁に隙間がある場合、小さな子どもが手足を入れケガをする恐れがあります。
装置を設置する際は、隙間の小さい柵を選ぶ、装置の稼働部から離れた場所へ設置するなどの工夫も必要です。

待機場所を設置する

機械式駐車装置は搬器が大きく動くため、内部に人がいる状態での操作は事故につながる危険行為です。
子どもがいるのに気づかずに閉じこめてしまったり、荷物の積み下ろしで人が残っているのに装置を稼働させてしまったりすることで死亡事故につながってしまいます。
そのため、不要な立ち入りを防ぐために、乗降室付近に子どもが待機できる場所や荷物を積み下ろしできるスペースを確保することが求められています。

照明を設置する

夜間に機械式駐車装置を操作する場合、視界が悪いため事故につながる恐れがあります。
装置内に人が残っていたのに気づかず、装置を稼働させてしまい搬器に巻き込まれて負傷・死亡してしまうケースです。
夜間の利用で装置内部が暗く、操作位置から人の確認が難しい場合は、装置の視認性を上げるためにも照明設備の設置が必要です。

注意喚起のポスターを設置する

設置者側の取り組みも重要ですが、利用者が正しく機械式駐車装置について理解しておくことも大切です。
利用者の目の付く場所に注意喚起のポスターを設置したり、チラシを配布したりしましょう。
操作方法や起こり得る事故について記載しておくことで、事故のリスクを減らせる可能性があります。
また、注意喚起のポスターを毎日目にすることで、多くの利用者が自然と機械式駐車装置への理解を深めてくれるかもしれません。

入居者対象の講習会を開催する

入居者を対象に駐車場を含めた安全講習会を開催するのもおすすめです。
防災訓練やイベントなどを絡めて参加率を上げると良いでしょう。
その際、駐車場を利用していない入居者に対しても参加を促します。
たとえ駐車場を利用していなくても、自分の子どもや関係者が事故に遭うケースも考えられるためです。
機械式駐車装置は使用方法によって大きな事故につながってしまうこともあります。
入居者がそれぞれ共通の認識を持って、安全対策が取れることが望ましいでしょう。

定期的に点検を実施する

機械式駐車装置のメンテナンスが正しく行われていなかったために、安全装置が働かず死亡事故につながるケースもあります。
そのため、装置が正常な状態であるか1~3ヶ月おきに専門業者に点検してもらう必要があるでしょう。
機械式駐車装置の部品は、耐用年数がそれぞれ異なってくるので適切な時期に合わせて交換が必要です。
製造者側からメンテナンス時期や部品の交換時期、費用など保全計画が用意されているので、管理者は保全計画を参考に修繕を行いましょう。

万が一の際の対応策を備える

万が一事故やトラブルが発生した場合に備えて、対応策を用意しておきましょう。
マンションで事故が発生した場合、第一発見者は一般の利用者である可能性が高いです。
機械式駐車装置や事故に関係する組織・会社に速やかに連絡し、記録を残しておくことが求められます。
スムーズなやり取りを可能にするために、警察や消防、製造者、管理会社、メンテナンス業者、設置の届出をした都道府県知事など連絡が行われる体制を整えておくと良いでしょう。

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「平面駐車場」の設置も検討しよう

予算や設置環境、利用条件などから、平面駐車場の設置を検討する方も多いです。
ここでは、平面駐車場についての特徴やメリット・デメリットについてご紹介します。

平面駐車場とは

平面駐車場とは、一般的に屋外に設置された平地を利用した駐車場です。
中には建物の地下や1階部分のスペースに駐車場を確保したものもあります。
機械式駐車場のような立体駐車場ではないため、装置の操作やメンテナンスの必要がありません。

平面駐車場の特徴①設置費用が比較的安価

平面駐車場の特徴として、設置費用が他の駐車場に比べて安価で済むことが挙げられるでしょう。
立体駐車場は収容台数の確保に長けていますが、その分設置工事に莫大な費用を要します。
その他にも防犯カメラ、照明、定期的なメンテナンスなど平面駐車場にはない費用がかかってくるでしょう。
平面駐車場で必要になる費用は主に舗装工事によるものです。
規模にもよりますが、比較的安価に抑えられるでしょう。
舗装方法としては、主に砂利やアスファルトが用いられます。
耐久性を求める場合はコンクリート舗装が望ましいですが、その分費用も割高になります。

平面駐車場の特徴②入庫・出庫がしやすい

平面駐車場のメリットとして、車両の出し入れがしやすいことも挙げられます。
機械式駐車場では、入出庫の際に機械操作が必要になり、他の利用者が操作している場合には待ち時間も発生します。
また、立体駐車場のように入り口から自分の駐車場まで距離があるケースはありません。
余計な時間を取られることなく入出庫が可能と言えるでしょう。

平面駐車場の特徴③運転がしやすい

平面駐車場では、敷地に余裕があるため、車路が幅広く取られているケースも多いです。
平面で駐車場内での見通しが良いため、敷地内での運転や駐車もしやすいでしょう。
死角の少なさから事故の発生を防ぐ効果も期待できます。

平面駐車場の特徴④狭小地でも設置ができる

平面駐車場は、車1台分のスペースさえあれば駐車場としてその土地を利用できます。
利用方法に困っている狭小地や変形地でも、車室1台分(幅2.5m×奥行6m)あれば駐車場の設置が可能です。

平面駐車場のデメリット

メリットの多い平面駐車場ですが、デメリットもあるので確認しましょう。
デメリットとして以下の4つが挙げられます。

・土地面積に対して利用効率が悪い
立体駐車場とは違い、平面駐車場は利用できる部分は平面のスペースのみです。
敷地の大きさで収容台数は決まってしまうので利用効率は悪いと言えるでしょう。

・収容台数の数が多いほど、広大な土地を必要とする
収容台数を多くする場合、台数分のスペースが必要なため広大な土地を確保しなければなりません。
100台収容できる駐車場の場合、車室分だけで1,500㎡(約450坪)の広さを必要とします。
土地の確保が難しい都心部では、大規模な平面駐車場の設置は困難です。

・敷地面積が大きい駐車場の場合、車を探す手間がかかる
大規模な平面駐車場を利用する場合、敷地が広いため自身の車を探すのに時間がかかる場合があります。
大規模な駐車場を利用する場合には、停車エリアを覚えておく必要があるでしょう。

・天候によるもの
平面駐車場は屋外に設置されているケースが大半で、青空駐車場である場合が多く、屋根が設置されていません。
そのため、雨天時の乗降時には雨に濡れたり、積雪時には雪を除去したりしなくてはならない場合があります。
荷物が多く、傘が必要な場合など荷物の出し入れに時間がかかるでしょう。