機械式駐車場のデメリット・注意点

機械式駐車場は、入居者にとっても大家さんにとってもメリットがあります。
しかし、デメリットや注意点もあるので、あわせて知っておかなければいけません。
次は、機械式駐車場のデメリット・注意点についてみていきましょう。

車両サイズが限られる

停められる車両サイズに制限があることは、設置前に把握しておくべき注意点です。
パレットに車を載せて機械の力で上下左右に動かします。
そのため、車幅や車長、車高、重量に制限が設けられています。
最近はハイルーフの軽自動車も増えているので、軽自動車だから大丈夫だろうという過信は禁物です。
車両制限は以下のように書かれています。

車高…155cm
車幅…205cm
タイヤ幅…183cm
全長…580cm
車下…15cm
重量…2,200kg

この駐車場の場合、車高が179~181cmのホンダ N-BOXは停められません。
マンションに機械式駐車場を設置するのであれば、幅広い車種に対応できるタイプを選ぶようにしてください。

入庫・出庫に時間がかかる

入庫や出庫に時間がかかってしまうというデメリットもあります。
平置き駐車場や自走式立体駐車場は車の持ち主がすぐに出し入れできますが、機械式駐車場だとそうはいきません。
操作パネルを操作したり、カード認証をしたりすることで車を呼び出すので、時間がかかってしまいます。
平日の朝や夕方の通勤ラッシュは車を利用したい人も多いため、混雑しやすくなるでしょう。
暗証番号や認証カードを忘れると他の入居者にも迷惑が掛かり、トラブルの原因になってしまう可能性もあります。

感知センサーが作動すると機械が停止してしまう

機械式駐車場には事故を防止するための感知センサーが備わっていて、作動すると緊急停止します。
例えばドアミラーを畳まずに入庫したり、半ドア状態のドアが機械作動時に開いたりすると作動する場合があるのです。
また、制限を超えたサイズの車を駐車しようとした時にも感知センサーは反応するようになっています。
緊急停止すると他の入居者にも迷惑がかかるので、あらかじめ注意点としてしっかり伝えておくようにしましょう。

維持費が発生する

マンションなどの集合住宅では、機械式駐車場は共有施設という扱いになります。
賃貸マンションだと維持や管理はオーナーが行います。
一方、分譲マンションだと住民が共同で維持・管理を行わなければいけません。
平置き駐車場や自走式立体駐車場と比較すると、維持管理費は高めに設定されます。
法定耐用年数は15年ですが、その間にも定期的な改修や部品の交換が必要になるケースもあります。
それらの費用を賄うための修繕積立金の回収は必須だと言えるでしょう。
車を持たない世帯が多いエリアだと駐車料金や修繕積立金、管理費などを高めに設定しなければいけないケースも考えられます。
入居者から理解が得られないと車を保有する世帯がなかなか入居してくれず、オーナーの負担ばかりかさんでしまう可能性もないとは言い切れません。

災害によるリスク

災害が起こった時の影響を受けやすい点も、機械式駐車場を採用する際の注意点として挙げられます。
地震が発生すると、機械が損傷したり部品が落下したりする可能性があります。
東日本大震災が起こった時も、パレットが落下してしまったという事例がありました。
地下にも車を停めるタイプだと、台風や大雨による浸水・冠水のリスクが高まります。
日本は地震大国であり、台風が上陸するケースも珍しくありません。
また近年は、ゲリラ豪雨による被害も目立つようになってきました。
そのため、機械式駐車場を設置するのであれば、災害時の管理体制や耐震性などもあらかじめ確認しておきましょう。

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機械式駐車場のトラブル事例をご紹介

機械式駐車場で多く見られるトラブルを把握しておけば、対応もスムーズに行えるようになります。
続いては、実際に起こったトラブル事例をいくつかピックアップしてご紹介します。

間違い駐車による事故

パレットのサイズが異なる機械式駐車場もあります。
そのような駐車場で間違い駐車をしてしまうと、制限サイズを超えてしまうこともあるでしょう。
制限サイズを超えた車を無理やり停めようとすると、出庫時に車が凹んでしまう恐れがあります。
パレットの番号を間違えてしまい、せっかくの愛車が台無しになってしまわないように注意しましょう。

確認不足による事故

子どもが同乗しているのにもかかわらず、降車したことを確認しないと思わぬ事故につながります。
子どもが乗降室で車から降りてしまった状態で入庫操作を行ってしまった事例もあります。
乗降室に残されていた子どもは、搬器に挟まれて死亡してしまいました。

装置内の侵入による事故

子どもが装置内に立ち入ってしまい、上昇している親の車が載っているパレットに飛び移りました。
その際に転倒し、搬器に挟まれてケガをしてしまったという事例もあります。
子どもが飛び乗ったことに気が付いたにもかかわらず、上昇するのを止めなかったこともケガをした原因につながっています。

車の水没

ゲリラ豪雨に見舞われ、水害が発生しました。
その時、マンションの機械式駐車場も被害に遭い、車が水没してしまったのです。
地下に収容するタイプだったこともあり、複数の車が水没してしまったという事例もあります。
駐車場設備の修繕費用も発生し、オーナーも入居者も大きな痛手を負いました。