割増賃金率&最低賃金のアップ


賃上げ
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2023年4月1日から、中小企業を対象に法定の時間外労働の割増賃金率が一部変更され、月間60時間を超える時間外労働に関する割増賃金率が50%以上に引き上げられました。 この割増賃金率の引き上げは、2008年12月に法令が公布され、2010年4月に施行された労働基準法の改正の一環です。

具体的には、月間60時間を超える時間外労働に関する割増賃金率が、従来の25%以上から50%以上に引き上げられました。(大企業は2010年4月以降既に実施済)ただし、中小企業については、この変更がもたらす影響や費用負担の大きさが考慮され、適用が延期されていました。今回の変更は、この延期期間が終了したために実施されたものです。

また10月から各都道府県で最低賃金が39~47円引き上げられました。この引き上げにより、全国の平均時給は初めて1000円台を突破し、1004円となりました。

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年収の壁対策

パート・アルバイトで働く人が年収の壁を意識せずに働ける環境をつくるということで、2023年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」がスタートしました。

パート・アルバイトで働く人は、勤務先の企業規模により、年収106万円や130万円などのラインに到達すると厚生年金や健康保険などの社会保険料を自分で支払うことになります。そのため、給与を105万円や129万円などに抑えた方が、手取り収入が多くなるという逆転現象が発生しています。

このため、勤務時間を抑制して働く人が多く、人手不足が解消されない状態になっています。この状態を解消するため、2年間の時限的措置として、「106万円の壁」「130万円の壁」に対応する施策が導入されました。 

「106万円の壁」に対しては、106万円を超えたことで発生する労働者の社会保険料を実質的に補助したり、手当を支給した企業に労働者1人当たり30万~50万円の補助をするような内容になっており、「130万円の壁」に対しては、事業主が証明することで、引き続き扶養の範囲に留まることになるとされています。