不動産収入にかかる税金の計算方法とは?確定申告が必要な人や申告手順も解説

所有する不動産から家賃収入を得た場合は、税金がかかることがあります。家賃収入に税金がかかる場合、不動産所得を計算して、確定申告と納税をしなければなりません。本記事では、家賃収入にかかる税金の計算方法や確定申告の手順、必要書類を解説します。

所得税を計算する時の必要経費と所得控除

所得税を正確に計算する際は、必要経費や所得控除の種類を把握することが大切です。ここでは、必要経費や所得控除の例をみていきましょう。

必要経費として差し引かれるもの

家賃収入から差し引くことができる必要経費には、以下のようなものがあります。

・修繕費:建物の内装や外装の修繕費用・設備の交換費用
・管理組合に支払う管理費:マンションの共用部分を管理するために支払う費用
・管理委託費:不動産管理会社に物件の管理を委託した時に支払う費用
・ローンの利息:不動産投資ローンの返済時に支払う利息
・広告宣伝費:入居者を募集する時に不動産会社に支払った費用
・損害保険料:火災保険や地震保険などの保険料
・不動産取得税:不動産の所有者となる人が取得時に支払う税金
・固定資産税:毎年1月1日時点で土地や建物などの固定資産を所有している人に課せられる税金
・都市計画税:所有する不動産が都市計画区域内にある場合に毎年かかる税金
・接待交際費:不動産会社や管理会社などの打ち合わせをした時の飲食代 など
・交通費:物件を下見する時に支払った公共交通機関の乗車賃 など
・通信費:不動産管理会社と連絡をするための携帯電話の利用料金 など
・減価償却費:経年劣化などで目減りした価値分を費用として計上するための勘定科目

減価償却費は、建物部分の法定耐用年数に応じて決まります。不動産投資では、投資用不動産の取得費用を取得した年に一括で経費に計上しない代わりに、建物部分の取得費用と法定耐用年数をもとに決まる減価償却費を、毎年経費に計上していきます。

なお、土地部分の取得費用は減価償却費の計算に含まれません。建物部分とは異なり、土地部分は経年劣化しないためです。

接待交際費や交通費、通信費などは、不動産投資に関係しているもののみ経費に計上できます。

利用できる控除制度

所得税を計算する際の所得控除には、以下のような種類があります。

※1:給与収入のみの場合は給与収入が103万円以下
※2:控除対象配偶者の年齢が、その年12月31日現在で70歳以上の場合は最大48万円

家賃収入を得て確定申告をする時は、自分自身が適用できる所得控除をすべて申告することが大切です。
ご自身が適用できる所得控除が分からない時は、税理士や最寄りの税務署などで確認をするとよいでしょう。

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家賃収入の確定申告の流れ

続いて、確定申告が必要な人や申告の手順、必要書類を解説します。

確定申告が必要な人

確定申告が必要になるのは、自営業やフリーランスなどで1年間の所得金額が合計で48万円以上の人です。不動産投資をしている人は、専業のオーナーであれば不動産所得とほかの所得金額が合計で48万円以上になる時、確定申告をする必要があります。

給与所得がある人は、不動産所得をはじめとした給与以外の所得が年間で合計20万円を超えるのであれば確定申告をしなければなりません。
※給与を1か所から受けており、かつその給与の全部が源泉徴収の対象となる場合

そのため、家賃収入を得ていたとしても、不動産所得が年間で20万円以下であり、ほかに得ている所得もないのであれば確定申告は不要です。

ただし、何らかの理由で確定申告をする場合は、給与以外の所得が20万円以下であっても、所得金額や所得税の計算に含めなければなりません。給与所得者が確定申告をするケースとしては「給与収入が2,000万円を超えている」「住宅ローン控除を申請する」などが挙げられます。

確定申告の期間は、例年2月16日〜3月15日ごろですが、土日によって前後することがあります。

期限を超えて申告をした時や、意図的に申告をしなかった時は、ペナルティが課せられてしまいかねません。確定申告が必要な方は、期間を確認のうえスケジュールに余裕をもって申告をすることが大切です。

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確定申告の手順

確定申告のおおまかな手順は、以下の通りです。

1.必要書類を準備する
2.確定申告書と決算書を作成する
3.税務署に提出する

まずは、確定申告に必要な書類を集めましょう。税務署に提出する「確定申告書」や「決算書」に加え、申告書類の作成に必要な「不動産売買契約書」や「賃貸借契約書」なども準備します。

決算書とは、総収入金額や必要経費の内訳を記載した書類のことです。確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類の申告方法があります。白色申告であれば「収支内訳書」青色申告をする人は「青色申告決算書」を作成します。

青色申告を選択するためには、所得税の計算対象となる年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を、納税地を所轄する税務署に提出しなければなりません。何も提出しない時は、白色申告となります。

確定申告や決算書は最寄りの税務署で配布されているほか、国税庁のホームページでダウンロードすることも可能です。

必要書類が集まったあとは、確定申告書と決算書を作成し、添付書類とあわせて税務署に提出しましょう。提出方法は、以下の通りです。

・郵便または信書便で、住所地等の所轄税務署または業務センターに送付する
・住所地等の所轄税務署の受付に提出する
・e-Taxで申告する

【参考】国税庁「申告書の提出方法」詳しくはこちら

e-Taxは、インターネットを利用して申告書の電子データを送信できるシステムです。e-Taxであれば、自宅や事務所などから申告手続きができます。ただし、e-Taxを利用するためには、マイナンバーカードとそれを読み取れる機器(スマートフォンなど)が必要です。

確定申告に必要な書類

確定申告時に必要となる書類は、以下の通りです。

・確定申告書
・決算書(青色申告決算書・収支内訳書)
・本人確認書類
・所得控除の金額を証明する書類

本人確認書類は、以下A.Bのいずれかです。

A.マイナンバーカード(個人番号カード)
B.以下の番号確認書類と身元確認書類の両方
a.番号確認書類:通知カード・住民票の写し・住民票記載事項証明書
b.身元確認書類:運転免許証・身体障害者手帳・パスポート など

所得控除の金額を証明する書類には「社会保険料控除証明書」や「生命保険料控除証明書」などがあります。所得控除を申告する時は、添付が必要な書類を、国税庁のホームページや最寄りの税務署で確認しておきましょう。

郵送で申告書類を提出する場合、本人確認書類や所得控除を証明する書類の写しを添付します。申告書類を税務署に持参する場合は、受付窓口に提示します。
また、申告書や決算書を作成する際は、以下のような書類が必要となるため、事前に準備しておきましょう。

・不動産売買契約書・賃貸借契約書・家賃の送金明細書など
・不動産取得税や固定資産税などの納付書
・ローンの返済表
・管理費や修繕積立金などの領収書
・給与所得の源泉徴収票

申告書の作成にはさまざまな書類が必要です。確定申告をする場合は、必要書類を確認し、スケジュールに余裕を持って収集を開始しましょう。