不動産収入にかかる税金の計算方法とは?確定申告が必要な人や申告手順も解説

所有する不動産から家賃収入を得た場合は、税金がかかることがあります。家賃収入に税金がかかる場合、不動産所得を計算して、確定申告と納税をしなければなりません。本記事では、家賃収入にかかる税金の計算方法や確定申告の手順、必要書類を解説します。

家賃収入には税金がかかる!

1年間で所得を得た人は、所得税が課せられます。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。所得税の課税対象となる所得は、以下の通りです。

・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
・雑所得

【参考】国税庁「所得税のしくみ」詳しくはこちら

家賃収入から必要経費を差し引いた残りの金額は「不動産所得」となり、所得税の課税対象となります。
会社員や公務員など、給与収入を得ている人は、1年間で支給された金額から一定金額を差し引いた残りが「給与所得」となり、所得税の課税対象となります。

所得税は累進課税が採用されており、課税所得が多くなるにしたがって段階的に税率が高くなっていく仕組みです。

また、所得税を計算する時は、個人的な事情を加味するために「所得控除」という制度が設けられています。
「1年間で多くの医療費を支払った」「養っている家族がいる」などに該当する人は、所得控除によって一定金額を所得金額から差し引くことで、課せられる税金を抑えることが可能です。

家賃収入にかかる税金の種類

家賃収入にかかる税金の種類は、以下の通りです。

・所得税
・住民税
・消費税

住民税は地方税の1種です。納税先は、1月1日時点で住民票がある地域です。個人が納める住民税は、都道府県が課税する道府県民税と、市区町村が課税する市町村民税に分かれています。

オフィスや店舗などの事業用物件を貸して家賃収入を得ている場合、課税売上が1,000万円を超えると消費税がかかります。

一方で、居住用の賃貸物件の家賃収入には、消費税がかかりません。居住用と事業用の両方から家賃収入を得ている場合、消費税がかかるのは事業用のみの家賃収入が1,000万円を超えている時です。

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家賃収入ではなく不動産所得が課税対象

不動産所得は、不動産収入から必要経費を差し引いて計算します。そのため、不動産投資で得た収入のすべてに所得税が課せられるわけではありません。

不動産収入とは家賃のほかにも、礼金、更新料、管理費・共益費、駐車場代、自販機収入などがあります。
また、必要経費は主に修繕費、管理委託費、ローンの利息、広告費、不動産取得税、固定資産税などです。

不動産収入がある場合の所得税を求めるにあたって、まずこれらの計算を行って正しい不動産所得を知る必要があります。

不動産所得があり、所得税がかかる人は、基本的に確定申告をして納税しなければなりません。ただし、会社員をはじめとした給与所得がある人は、不動産所得が年間で20万円を超えていなければ確定申告は不要とされています。

【あわせて読みたい】家や土地など不動産の固定資産税、滞納するとどうなる?

不動産所得と所得税の計算方法

不動産所得は「総合課税」として計算されます。総合課税とは、その他の所得と合算した金額が課税されるという仕組みです。

サラリーマンとして勤めているうえで不動産所得があった場合、給与所得と合算するということになります。

厳密にいえば所得税は、すべての所得を合算し所得控除を引いた課税所得金額にかかります。課税所得金額と所得税の計算式は、以下の通りです。

・課税所得金額=合計所得金額−所得控除額
・所得税額=課税所得金額×税率−控除額

所得税を計算する時の税率と控除額は、以下の通り課税所得金額(1,000円未満の端数金額を切り捨てた後の金額です。)に応じて決まります。

【参考】国税庁「No.2260 所得税の税率」詳しくはこちら

それでは、具体例を挙げて所得の計算方法をみていきましょう。不動産収入が200万円で必要経費が100万円、給与所得が400万円、各種控除の合計額が300万円だった場合、計算は次のようになります。

■所得の計算方法

・不動産所得
200万円(不動産収入)−100万円(必要経費)=100万円

・給与所得と合算した課税所得
400万円(給与所得)+100万円(不動産所得)−300万円(各種控除)=200万円

・不動産の所得税
200万円(課税所得)×10%(表参照)−9万7,500円=10万2,500円

なお、2037年(令和19年)までは、所得税とあわせて「復興特別所得税」を納める必要があります。復興特別所得税は、所得税額の2.1%です。

不動産所得にかかる住民税の計算方法

住民税の税額は、前年の所得に応じて決まる「所得割」と、所得にかかわらず定額の「均等割」を合計して算出されます。基本的な計算方法は、以下の通りです。

・住民税額=所得割+均等割

所得割は、前年の所得に税率をかけて計算します。税率は10%です。内訳は道府県民税4%、市町村民税6%ですが、政令指定都市については、道府県民税2%、市民税8%となります。

均等割の金額は、基本的に5,000円(道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円)です。

実際は、上記を基準として各自治体が定めた方法によって税額が計算されるため、所得割の税率や均等割の金額が異なる場合があります。