【年金受給者のふるさと納税ガイド】納税控除上限額や確定申告の方法

年金受給者でもふるさと納税をすることができ、控除上限額も決まっています。この記事は、年金受給者がふるさと納税をする方法や控除上限額の計算、確定申告について解説します。ワンストップ特例制度や注意点なども理解しながら、地域の活性化を応援しつつ、税金におけるメリットを受けましょう。

ふるさと納税の控除申告方法

ここからは、ふるさと納税を行ったあとの、具体的な申告方法の手順を解説します。
ワンストップ特例制度ならびに確定申告のどちらを利用する場合でも、申告を忘れると控除が受けられなくなってしまうので、忘れずに申請するようにしましょう。

ワンストップ特例制度を利用する場合

ワンストップ特例制度を利用するには、ふるさと納税をした寄付先の自治体へ、必要事項を記入したワンストップ特例申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)を送付する必要があります。

①申請に必要なものを揃える
ワンストップ特例制度の申請用紙と本人確認書類を用意しましょう。

申請用紙は、申込時に申請用紙を希望すると寄付先から郵送されます。ほかにも、自治体のホームページから入手できることもあります。また、ふるさと納税ポータルサイトを利用した場合はマイページ上からダウンロードが可能です。

本人確認書類は、マイナンバーと本人確認ができる書類の写しを同封して提出する必要があります。

②申請書類を記入する
申請書類に必要事項を記入しましょう。

③各自治体に書類を郵送する
①・②で用意した申請書類と本人確認書類を、寄付先の自治体に郵送しましょう。申請期限は、ふるさと納税を行った翌年の1月10日です。
この期限を過ぎてしまうと、ワンストップ特例制度の利用条件を満たしていたとしても、確定申告を行わないといけなくなるため、期限を厳守しましょう。

なお、ふるさと納税ポータルサイトを利用する場合に、寄付先の自治体がオンライン申請に対応していれば、すべてオンライン上で申請が可能な場合もあります。

確定申告をしてふるさと納税の控除申告を行う場合

確定申告によって寄付金控除を申請する際は「寄付金受領証明書」の添付・提示が必要となります。

①申請に必要なものを揃える
寄付金受領証明書、対象期間の源泉徴収票、還付金受取用口座番号、本人確認書類を準備しましょう。
寄付金受領証明書は、ふるさと納税した自治体から納税後、しばらくして送られてきます。確定申告まで紛失しないよう、慎重に保管しておきましょう。

本人確認書類は、マイナンバーと本人確認ができる書類の写しを同封して提出する必要があります。

②確定申告書の作成
国税庁の確定申告特集のページへアクセスし「確定申告書等作成コーナーへ」を選ぶと、オンライン上で確定申告書を作成することができます。画面に表示される手順に沿って必要事項を記入しましょう。

なお、ふるさと納税ポータルサイトからふるさと納税を行い、なおかつ「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」で確定申告を行う場合、ポータルサイトのマイページでダウンロードできる「寄附金控除に関する証明書」を利用すると、e-Tax上でデータ連携ができ、入力や記入の手間を省くことができます。

③確定申告書の提出
②で作成した確定申告書を提出します。従来は、入力後に印刷した申告書を税務署へ郵送もしくは直接持参していましたが、最近ではオンラインで完結できるe-Taxでの提出が増えてきています。
確定申告の提出期限は、例年2月16日~3月15日です。

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年金受給者がふるさと納税をするうえでの注意点

年金受給者がふるさと納税を行う際に、いくつか注意すべき点があります。ふるさと納税でメリットを得るために、理解を深めておきましょう。

ふるさと納税控除上限額を超えた分は自己負担になる

年金受給者に限った話ではありませんが、控除上限金額を超えてふるさと納税をした場合、超えた額については全額自己負担となりますので注意が必要です。

特に、年金受給者の方で公的年金以外に収入がある方は、控除上限金額が年によって変動することも考えられます。必ずご自身の収入状況を確認してから利用するようにしましょう。
年金受給者の控除上限額の計算は複雑なため、不安な場合はお住まいの自治体や税理士に相談しましょう。

所得税・住民税が非課税の人はふるさと納税のメリットがない

冒頭でも少し触れましたが、ふるさと納税は「寄付金控除」となり、所得税・住民税から控除されます。
そのため、ふるさと納税の税金控除を受けるには、所得税や住民税が課税されるだけの一定の収入が必要です。所得税や住民税がそもそも非課税の場合、控除を受けることはできませんので、注意しましょう。

例えば、65歳未満で公的年金等の収入金額の合計が108万円以下の場合や65歳以上で合計が158万円以下の場合は所得がゼロとみなされるため、原則として所得税は課されません。また、住民税についても、前年の所得が自治体の定める額を満たさない場合は、非課税となります。

ふるさと納税の控除申請は期限がある

ワンストップ特例制度、確定申告それぞれに申請期限があるので、厳守するようにしましょう。
ワンストップ特例制度の申請は、ふるさと納税をした翌年の1月10日までです。翌年の1月10日までに、寄付先の自治体へ申請書類一式が届いている必要があります。
確定申告は、例年2月16日~3月15日が期限です。どちらも期限内に申請を行うようにしましょう。

まとめ

年金を受給中の人(年金しか収入がない人も含む)も条件さえ満たせば、ふるさと納税制度を利用することができます。応援したい自治体に寄付をし、税金控除や返礼品の受け取りといったメリットを享受することができます。

その一方で、収入や家族構成によって定められている控除上限額を超えた金額は、自己負担になってしまいます。所得税や住民税が非課税の人は、ふるさと納税を行っても税負担の軽減効果を期待できないことに注意が必要です。
興味はある方は、本記事で紹介したことに気を付けながら、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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西尾愛奈

FPサテライト株式会社所属 ファイナンシャル・プランナー
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP認定者

東京都在住、明治学院大学卒業。
大学卒業後、医療系メーカーに就職し経営企画・営業・広報に従事。20代最後に「お金」について学ぼうと思い立ち、2級FP技能士、AFPを取得。FPの勉強を通して、お金に対して不安になるのは「お金の知識がないから」だと気付く。
現職の知識を活かし、医療に強く、お金の基礎知識を広めていけるFPを目指し、執筆を中心に活動している。