分譲賃貸物件のデメリットとは?

一見、メリットだらけに感じる分譲賃貸物件ですが、他の賃貸物件と同じようにメリットもあれば当然デメリットもあります。
以下に挙げる分譲賃貸物件のデメリットも考慮した上で、慎重に検討しましょう。

家賃が高くなりやすい

分譲賃貸物件は、設備やサービスが充実していたり、安全性・防犯性に優れていたりする分、一般的な賃貸物件よりも賃料が高くなりがちです。
また、住宅ローンを組んで物件を購入した方は、月々の返済額をベースに賃料を設定することが多いため、所有者が投資家かどうかに関わらず、賃料の値引き交渉に応じてもらえる可能性は低いといえます。

物件の数が少ない

そもそも市場に出回っている分譲賃貸物件の数自体が少ないため、希望の立地条件で見つかるとは限りません。
一般的な賃貸物件に比べて、選択肢の幅が狭まることもデメリットです。
また、人気の物件は、即座に成約してしまうことも多く、気に入った物件が見つかった時は、時間を置かず早めに問い合わせや申し込みをする必要があります。
慎重に検討する余裕がないのも懸念材料です。

期限が決まっている物件は更新不可能

通常の賃貸借契約の場合だと、一定期間ごとに契約を更新することでその物件に住み続けられます。
しかし、分譲賃貸物件では、所有者の転勤などで一時的に貸し出されている物件の場合、定期借家契約によって住める期間があらかじめ決められている可能性があります。
定期借家契約には契約更新がなく、期間満了後は退去しなければなりません。
ただし、所有者との合意が得られれば、再契約をして住み続けることも可能です。

オーナーとの規約・マンションの規約がある

一般的な賃貸物件であっても、分譲賃貸物件であっても、オーナーとの間には賃貸借契約があり、その規約に従って生活するという点は同じです。
ところが、それに加えて分譲賃貸物件では、マンションの規約にも従う必要があります。
マンションごとに様々な規約があるため、あまりにも決まりごとが多かったり細かかったりすると、窮屈さや住みづらさを感じることも考えられます。
また、マンションの規約とオーナーとの規約の相違にも注意が必要です。
例えば、マンションの規約では認められていても、オーナーがNGとすれば、オーナーに従うことが基本です。
分譲賃貸物件には、マンションの規約と、オーナーとの規約という二重の規約が存在するため複雑になりがちで、一般的な賃貸物件よりもトラブルが起きやすいのです。
規約について気になる点や不明瞭な点があれば、契約前にしっかりと確認しておくことをおすすめします。

トラブルの対処が遅れるケースがある

一般的な賃貸物件のオーナーは、賃貸経営のプロです。
設備に不具合が起きても、手配する業者は決まっているので、迅速に対応してもらえます。
しかし、分譲賃貸物件のオーナーは、不動産賃貸業の知識や経験が全くないことが多いです。
そのため、通常の賃貸物件であれば、簡単に対処してもらえることが、分譲賃貸物件ではなかなか対処してもらえない可能性があることも考慮しておかなければなりません。
例えば、設備が故障した場合は、手配する業者を決める所から始まるので、修理してもらうまでに時間がかかります。
また、建物自体が賃貸を想定して作られているわけではないため、一般的な賃貸物件では予想できないトラブルが発生することも考えられます。
分譲賃貸物件特有のトラブルについては、以下の「分譲賃貸物件の注意点」で詳しく解説していきます。

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分譲賃貸物件の注意点

分譲賃貸物件を借りるにあたって、把握しておくべき注意点がいくつかあります。
ここからは、その注意点を分譲賃貸物件でよく見られるトラブルの事例と共に説明していきます。

公共料金の支払い手続きについて

元々の家主であるオーナーが公共料金の解約手続きを忘れていて、借主が入居した後も支払いがオーナーのままになっていたというトラブルがあります。
通常は、オーナーが貸し出しを行う前に、電気や水道などのライフラインを解約します。
しかし、万が一解約し忘れた場合、トラブルの発覚後オーナーが代わりに負担した分を清算することになります。

設備や備品の扱いについて

物件内に、オーナーが置いていった備品や設備が残されていることがありますが、勝手に使用すると後からトラブルに発展する可能性があります。
マンションの設備であれば、故障しても修理や交換といった対応が可能です。
しかし、オーナーの残置物を壊してしまった場合は、損害賠償問題に発展することが考えられます。
物件内の残置物については、事前に取り扱い方を確認しておくことが大切です。

退去時の原状回復について

オーナーが不動産賃貸について知識不足だと、原状回復の範囲に誤りがあってトラブルとなるケースもあります。
本来なら、入居者が負担しなくても良い部分まで、原状回復を求められる恐れもあるため、契約前に原状回復の範囲について確認しておきましょう。

駐車場について

駐車場にゆとりがない物件の場合は、借主よりも所有者の方が優先されるケースもみられます。
マンションの駐車場が借りられるものと思い込んで、契約後に止められないことが発覚すると、すぐには他の駐車場を確保できないことも予想されます。
駐車台数が限られている物件を借りる際は、契約前にマンションの駐車場を使用できるか確認し、使用できない場合は近隣の空いている駐車場を探しておくと安心です。

設備の交換・故障について

大家業を専門としているオーナーであれば、設備が故障しても連絡するとすぐに対応してもらえます。
管理会社や電気・水道設備会社などとのつながりもあるため、トラブルへの対処は迅速です。
一方で、大家業に不慣れなオーナーは、急なトラブルにすぐには対応できないことがあります。
設備のトラブルに不安がある方は、契約を結ぶ前に設備が故障した時の対処法についてオーナーと相談しておくようにしましょう。

オーナーについて

分譲賃貸物件に入居している途中で、オーナーが変わるケースもあります。
オーナーが変わったからといって、必ずしもトラブルになるわけではありませんが、前のオーナーと新しいオーナーとで規約についての認識が異なることもあるため注意が必要です。
前のオーナーの時は認められていたことが、新しいオーナーではNGとなることもあるかもしれません。
基本的に、オーナーが変わる場合は事前に通知されるので、新しいオーナーとの間で改めて規約について確認してください。