戸建て住宅と比較して、マンションは耐震に優れ安全だと考える方は多いです。
しかし、地震が発生した際の揺れ方は、戸建てより大きく、マンションならではの防災対策が必要になってきます。
今回は、新築マンションを購入する前に押さえておきたい情報や防災対策、避難時の対応などを徹底解説します。
万が一災害が起きた際、慌てず行動に移せるようぜひ参考にしてください。

地震が発生した際に新築マンションで起こるかもしれないリスク

一般的にマンションは耐震性に優れているので、戸建てや木造住宅よりも崩壊するリスクは低いとされています。
しかし、マンション特有のリスクも存在するので、それに合わせた防災対策も必要になってくるでしょう。
マンション特有のリスクとはどのようなものが考えられるでしょうか。

高層階にいくほど揺れが大きい

地震が発生した際、マンションは高層階になるほど揺れが大きく激しくなり、低層階ほど揺れは小さいです。
これは、長周期地震動と呼ばれ、地震が収まった後も、大きな揺れが長く続く特徴があります。
建物における耐震・制震構造のタイプによって揺れ方も違いますが、マンション高層階の揺れは、地上で体感する揺れの2~3倍以上とも言われています。
家具の転倒リスクも高くなるので、それに対応した対策が必要でしょう。
また、揺れが続くことで体調不良につながるケースもあります。
マンション高層階に住む場合には、揺れのリスクがあることは覚悟しておきましょう。

エレベーターが使用できない、復旧までに時間がかかる

エレベーターに乗っている最中で地震に見舞われる可能性も考えておきましょう。
揺れが強い場合、緊急停止のシステムが作動し、エレベーターが停止することがあります。
また、大きな地震が起こった場合には、エレベーターが使用できなくなるケースも考えられるでしょう。
特にタワーマンションの上層階に住んでいる場合、移動手段が階段しかないのは大きなリスクです。
家族に高齢者がいる場合は、避難するのは非現実的と言えるでしょう。
また、地震の影響でエレベーターが故障してしまった場合、復旧までに時間を要します。
買い物や用事で外へ出ようとするたびに何十階もの階段の上り下りを余儀なくされるので、日常生活に支障をきたすでしょう。

水や電気といったライフラインが途絶えることもある

地震によってライフラインが止まってしまうリスクも考えておきましょう。
排水設備が機能しない場合、トイレが使用できなくなる可能性もあります。
また、断水されていれば、水を汲みに地上まで出る必要性が出てくるでしょう。
高層階に住み、エレベーターが使用できない場合、先述したとおり階段を使用しなければなりません。
自宅のトイレが使用できなくなるのはかなり不便と言えます。

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新築マンションに施されている防災対策

近年、災害による被害が多発していることから防災対策に力を入れた物件も多くなっています。
新築マンションに、どのような地震対策・防災対策が施されているのかチェックしておきましょう。

地震対策

マンションは地震に対する耐震性、耐久性の基準が厳しく定められています。
過去に発生した同程度の地震には耐えられるように設計されていると考えて良いでしょう。
以下、建築基準を満たす代表的な3つの構造と特徴です。

「耐震」構造の特徴と揺れ方

耐震構造は、マンションが耐震に耐えられるように設計された構造です。
壁や柱、梁などに強度がある材質を使い、建物全体の強度を高めます。
建物の崩壊を防ぎやすい反面、地震の揺れをダイレクトに受け止める構造なので他の構造に比べて揺れが大きくなってしまうデメリットがあります。
ひび割れなどで建物を傷めてしまう場合もあるでしょう。

「制震」構造の特徴と揺れ方

制震構造は、建物の中に地震を抑制する装置を入れ、地震が発生した際、そのエネルギーを吸収する構造になっています。
ダンパーというゴムのような制震部材を使い衝撃や振動が建物に伝わるのを抑えます。
上の階へ行くほど揺れが抑えられる仕組みになっています。
タワーマンションに多く利用され、他の構造と比べて、地震の規模が大きくても柱や壁の損傷が少ないです。

「免震」構造の特徴と揺れ方

土地と建物を切り離してその間にゴム層を入れ、揺れが建物に直接伝わらないようにした構造を指します。
激しい地震が起こった際も、ゴム層が地震の振動を吸収し、他の構造と比較してもっとも揺れを抑えることができる構造です。
揺れ方が小さいので、建物のダメージが小さく、落下物や家具転倒のリスクも低くなります。
コストがかかるので、大規模な建物や高級マンションに導入される傾向があります。

地震対策は日々進化しているので、それぞれの構造を併用して導入されることもあります。
購入を検討している新築マンションがどのような構造でできているかを確認しておくと良いでしょう。

マンションの防災設備の種類

地震対策だけでなく、マンションには様々な防災設備が備わっています。
以下、マンションに設置された主な防災設備です。

○警報に関する設備
・非常警報設備:非常ベル、サイレン、放送設備
・自動火災報知設備:受信機、感知器から火災を自動感知し警報が自動的に鳴る設備

○消化・防火に関する設備
・消火器
・屋内消火栓設備:初期消火用、ホースを利用して人が消化活動を行える設備
・スプリンクラー:火災発生時、消火剤が散布される
・ハロゲン消化設備:ハロゲン消化剤を噴射し、火災を冷却、燃焼を抑制する
・非常コンセント設備:火災で電気配線が利用できなくなった際に電気が使用できる
・排煙設備:煙を逃すための設備
・連結送水管設備:消防車が消火活動に利用する放水用の設備
・防火シャッター、防火扉:延焼防止の役目

○避難設備
・避難はしご
・誘導灯や誘導標識:避難経路や避難方向、避難口を表す標識

その他にも、マンションによっては、あらゆる災害を想定して、災害対策装備に力を入れている物件もあります。
マンション共用部で水の供給が可能な非常用生活用水生成システムやトイレとして利用できる非常用マンホールトイレ、コンロの安全装置など新築マンションほど防災に優れた物件が多い傾向です。