避難所へ行く・行かないを見極めるポイント

次に、避難所へ行く・行かないを見極めるポイントを見ていきましょう。

耐震基準を満たしているか

耐震基準を満たしている建物は、一定の強さの地震に耐えられる建物として認められています。
しかし、耐震基準は年々厳しくなっており、2000年7月以前に建て始めた木造建築や1981年5月以前に建て始めた鉄筋や鉄骨の建築は現在の耐震基準を満たしていないことになります。
そのため、それらの建物に住んでいる場合は、避難所へ移動するのがおすすめです。
見た目に変わりがなくても、次に大きな地震が起こった場合、倒壊してしまう可能性が高いです。
応急危険度判定士による判定が出てから自宅に戻るという方法もあります。

危険地域どうか

ハザードマップで危険地域として指定されている場所に住んでいる場合は避難しましょう。
津波、土石流、がけ崩れ、地すべりの危険があるため、自宅に留まるとケガや逃げ遅れにもつながります。
しかし、ハザードマップで危険地域に指定されていない場所でも、大規模な災害の場合は、危険にさらされることがあります。
ハザードマップを信じすぎることは避け、自分の目で確かめて判断してください。

ヒビ・割れ目があるか

次に同じ規模の地震がきた時に倒壊してしまう恐れがあるため、建物にヒビ・割れ目ができた時も速やかに避難しましょう。
ただし、マンションの場合、「エキスパンションジョイント」という仕組みで割れ目ができていることもあります。
エキスパンションジョイントは、建物の被害を抑えるための仕組みで、安全性に問題はありません。
事前にエキスパンションジョイントが採用されているかどうかを聞いておくと避難の際に役立つでしょう。

木造かどうか

地震が起きると、火災も起きやすくなります。
特に木造住宅が多く並んでいる地域は、燃え広がりやすいことから、大規模な火災につながる恐れがあります。
したがって、木造住宅に住んでいる場合は、目に見える被害がなくても避難しておくのが安心です。
停電が復旧したタイミングで起きる「通電火災」も危険であるため、復旧後は時間を空けてから自宅へ戻りましょう。

(広告の後にも続きます)

防災対策に必要な備蓄品

防災対策と言えば備蓄品です。
備蓄品があることによって、被災時でも心に余裕が持てることが多いため、しっかりと用意しておくのが大切です。

水・食料

備蓄品の中でも特に大切なのは、やはり水や食料です。
水や食料は、最低でも3日分~1週間分は用意しておくと安心できます。
水に関しては、1人1日3リットル必要と言われているため、2人分を用意する場合は最低でも18リットルの水を用意する必要があります。
食料は、非常食に加え、ローリングストックで備蓄しておくのがおすすめです。
ローリングストックとは、よく食べる缶詰やレトルト食品を多めに買い、万が一の時にも食べられるようにストックしておく方法です。
「賞味期限が近いものから食べ、消費したらまた買い足す」を繰り返しましょう。
食料についてのポイントは、スイーツの備蓄も用意しておくことです。
非常食にもなる缶詰のガトーショコラ、チーズケーキなどは特におすすめです。
他にも日持ちするお好みのスイーツを見つけてストックしておくと、避難後気持ちを落ち着かせたりリラックスしたりできるでしょう。

カセットコンロ・ボンベ

ガスや電気が止まる可能性を考えて、カセットコンロやボンベも用意しておきましょう。
非常食の中には温めが必要ないものも多くありますが、特に冬場は暖を取るためにも温かいスープなどがほしくなるでしょう。
できるだけ快適にストレスなく過ごすためには、カセットコンロが欠かせません。

携帯ラジオ

携帯ラジオでは、災害の情報を始めとした様々な情報が得られます。
特にライフラインとして大切な給水車などの情報も発信されるため、被災時に必要不可欠なアイテムとなります。

懐中電灯

夜道の避難、停電中の部屋を移動する時に使います。
災害が起きると、パニックや興奮状態になりやすく、視野が狭くなってしまいがちです。
怪我を防ぐためにも懐中電灯やランタン、ヘッドライトなどの灯りを用意しておきましょう。

非常用トイレ

下水施設が故障した時のために非常用トイレを用意しておくのも大切です。
トイレの頻度を減らすために、食事や飲用を控えたことが体調不良につながり、亡くなってしまったというケースもあります。
健康に過ごせるよう、非常用トイレは多めに備蓄しておきましょう。

スニーカー

地震が起きると、窓ガラスなどが割れ、破片が飛び散ることがあります。
素足で歩くとケガをするおそれがあるため、スニーカーの用意は必須です。
寝室はもちろん、リビングに備えておくとケガのリスクを軽減できます。

新築マンションに入居したら防災訓練に参加しよう

避難場所や安全に避難するためのポイント、備蓄品に加え、防災訓練に参加することも大切です。
大切な理由にはどんなものがあるのでしょうか。

地域ならではの災害を知るため

地震や火災以外にも、津波や風水害といったイメージしづらい災害がいくつもあります。
災害が起きた時、スムーズに安全に避難するためには、住まいのある地域で起こる可能性がある災害を知った上で、避難場所や経路を確認することが欠かせません。
地域の地形、気象といったあらゆる視点から災害時の行動を考えることにもつながります。

避難器具などの正しい使い方を知るため

防災訓練では、起こり得る災害の程度と状況をより細かく想定し、様々な方法で避難できるように準備をします。
この時、マンションに備わっている避難器具の適切な使用方法も学ぶことができるのです。
避難器具の存在は知っていても使用方法が分からないと使い物になりません。
万が一の時に正しく使うためにも、防災訓練で設置場所や使用方法、注意点について学んでおきましょう。

助け合えるようにコミュニティを形成するため

新築マンションの多くが耐震性に優れており、避難せずに生活できると考えられています。
建物内で過ごすことはできても、停電や断水などが起これば、快適な生活はできなくなるでしょう。
防災訓練に参加することで、マンションの住人とコミュニケーションを取る機会が生まれ、万が一の時も助け合える可能性が高まります。
被災時の孤独はストレスや体調不良につながるおそれもあるため、できるだけコミュニティを形成しておくと安心です。

(広告の後にも続きます)

入居後はマンションの消防設備点検にも協力しよう

消防設備点検とは、防災設備の点検のことを言います。
室内の防災設備をチェックしてもらうため、居住者は立会いが必須です。
防災設備として挙げられるのは、以下のようなものです。

・消化器
・スプリンクラー
・自動火災報知器
・避難はしご

もちろん共用部分に設置された防災設備(屋内消火栓・非常ベル・防火シャッターなど)の点検も行われます。
火災が発生した時、これらの防災設備が正常に作動しないと、逃げ遅れが発生するだけでなく、命を落としてしまうことがあります。
そうならないよう、マンションの住民として消防設備点検に協力する必要があるのです。

消防設備点検の頻度

消防設備点検は、1年に1回行われるのが基本です。
立ち会う必要のない共用部分の消防設備点検は1年に2回行われることが多いです。
点検は10分程度で行われることが多く、居住者がすることは特にないため、手間はかかりません。
ただし、避難はしごなどの上に物がない状態にしておかないと、点検がスムーズに進まないので注意が必要です。
消防設備点検の日程は、手紙や掲示板で告知されるため、入居して1年経つ頃はポストや掲示板を気にしておくと良いでしょう。

協力を拒否すると管理規約違反になることも

中には都合が悪く、消防設備点検に協力できないという方もいるでしょう。
そんな時は、速やかに管理会社へ連絡して、対応可能かどうかを確認してください。
仕事や外せない用事などの正当な理由がなく、点検を拒否し続けた場合は管理規約違反になるおそれがあるため注意が必要です。
点検に協力しなかった居住者の部屋にある設備に不具合があった場合、不具合が原因で他の居住者にまで被害が及ぶと、損害賠償を請求されてしまう可能性もあります。
自分の命はもちろん、他の居住者を守るためにもできるだけ点検に協力しましょう。

詐欺に注意

定期的な消防設備点検を利用した詐欺に注意が必要です。
消防設備点検は、管理会社が依頼した業者が行う作業であるため、怪しさを感じた場合は詐欺である可能性が高いです。
点検しているように見せて、有効期限切れや破損を理由に、新しい設備の購入をしつこく促します。
実際は破損しておらず、交換の必要もないことがほとんどであるため、購入する前に管理会社に確認を取るのがおすすめです。

今回は、新築マンションの防災対策についてご紹介しました。
マンションでは、様々な防災対策が施されている他、防災訓練なども行い、災害時スムーズに避難・生活できるようにしています。
災害時、安全に避難・生活するためには、避難場所や避難経路、対応方法、安全に避難するためのポイントを知っておくことが大切です。
また、災害に備えて備蓄を用意しておくことも欠かせません。
防災訓練や点検にも参加し、万が一の時のためにしっかりと準備しておきましょう。