新NISAとiDeCoの違い 


望遠鏡を覗く男女
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新NISAとiDeCo、どんな違いがあるかを比較してみましょう。

1)対象年齢

新NISA
18歳以上、上限年齢はなし

iDeCo
20歳以上、掛金を拠出できる上限年齢は65歳まで

新NISAは18歳以上であれば上限の年齢の制限なく利用できます。一方、iDeCoは年金の上積みが目的になるため、20歳から最長65歳までの国民年金の保険料を払っている期間が対象になります。

2)投資対象の商品

新NISA
成長投資枠とつみたて投資枠の2つの利用枠があり、それぞれで対象商品が異なります。
・成長投資枠:株式、投資信託、REIT、ETFなど
・つみたて投資枠:金融庁が定めた基準をクリアした投資信託とETF

iDeCo
元本確保型の商品と元本変動型商品の2つに分かれます。
・元本確保型:定期預金や保険商品。元本は確保されるが、運用益は期待できない。
・元本変動型:投資信託で運用する。元本の保証はない。

新NISAは、株式や投資信託など資産価値が上下に変動する金融商品に投資します。一方、iDeCoの特徴の一つに「元本確保型」の商品が準備されていることが挙げられます。

元本確保型はその名の通り、運用益は期待できませんが元本の資産価値が下がりません。そのため受取年齢が近づき、資産価値を下げたくない時などに利用されます。

3)投資の上限額

新NISA
成長投資枠は年間で最大240万円、つみたて投資枠は年間120万円までとなっており、併用可能です。なお生涯投資限度額として合計1800万円が上限(成長投資枠のみでは1200万円が上限)となっています。

iDeCo
iDeCoは加入している年金制度や退職金制度によって年間の掛金上限額(拠出額)が変わります。最も掛金上限額が高いのは自営業の人で、年間81万6000円まで拠出できます。仮に20歳から65歳までの期間中に、毎年81万6000円を積立したとすると3672万円を積み立てることが理論上可能です。なお会社員(※企業年金がない会社員のケース)であれば最大で年間27万6000円を積み立てることができます。

4)税制メリット

新NISA
運用期間中は株式の配当や投資信託の分配金などを非課税で受け取り、再投資できます。また最終的に売却して出た利益も非課税で受け取れます。なお新NISAは非課税制度なので、節税効果はありません。

iDeCo
iDeCoの掛金は加入者自身の資金を積み立てます。この積み立てた掛金は全額が所得控除の対象になるので、所得税や住民税の計算基準になる課税所得の額を下げることができます。

課税所得の金額が下がる=所得税や住民税の税額が下がるという節税効果が得られます。この節税効果がiDeCoの最大のメリットです。また運用中の分配金は非課税で再投資され、受取時も退職所得控除や公的年金等控除の対象になっているので、節税効果が期待できます。

5)コスト

新NISA
証券会社などに証券口座を開設します。口座開設そのものは無料です。投資信託の取引を例にとると、買い付け・維持・売却の3つのタイミングで手数料がかかることがあります。

iDeCo
iDeCoには以下の5種類の手数料が発生します。

1.加入時・移換時手数料
個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入や、企業型DCからの移換を行う際には、国民年金基金連合会への一時的な費用として2829円(税込)の手数料が必要となります。国民年金基金連合会への手数料は、どの金融機関を選択しても一律の金額となり、初回の掛金や移換資産から自動的に差し引かれます。さらに、運営管理機関への手数料も発生する可能性があるため、これらの点には注意が必要です。

2.口座管理手数料
口座管理手数料は、掛金の徴収、資産の管理、運用指図の整理、そしてインターネットやコールセンターを通じた各種サポートに関連する費用を加入者が負担するもので、これらの費用は毎月の掛金から引かれます。

国民年金基金連合会への「事務手数料」と信託銀行への「資産管理手数料」の合計は、年間2052円(税込)となります。

「運営管理機関手数料」は、運営管理機関によって異なり、加入初期から無料の場合や、資産残高に応じて手数料が無料または割引になるケースもあります。

3.給付事務手数料
給付金の受取時には、給付一回につき440円(税込)の手数料が必要です。

4.還付事務手数料
国民年金の加入者が国民年金の保険料を納付していない月にiDeCoの掛金を納めた場合、加入者にiDeCoの掛金が返金されます。このようなケースを還付と呼びます。この還付が発生した場合、手数料として1484円が還付金から差し引かれます。

5.信託報酬
元本変動型の投資信託を保有しているケースでは、投資信託の維持費にあたる信託報酬が徴収されます。なお信託報酬は商品毎に異なり、仮に新NISAで投資信託を保有していれば、その投資信託にも信託報酬は発生します。

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iDeCoの最大メリット、節税効果はどれくらい?

iDeCoの最大のメリットである節税効果。この節税効果がどれくらいあるのかを試算してみましょう。

会社員の人が65歳までiDeCoで積み立てた際、どれくらいの税金を節約できるかをまとめてみました。各年齢から毎月1万円を積み立てるパターンと、会社員の上限額である毎月2万3000円を積み立てる2パターンで所得税・住民税の節税効果を試算しています。

やはり早めにスタートする方が、節税効果が高くなり、積立金額や年収が高くなるほど節税額が大きくなっています。このような所得税や住民税の税額を下げる効果は新NISAにはなく、iDeCoの特徴的なメリットと言えるでしょう。特に節税する方法がない会社員や公務員などの働き方を選んでいる人には嬉しい点と言えるでしょう。