「固定残業制の会社はやめておけ」友人が熱弁するのですが、理由は何でしょうか?

先日、ライフプラン相談を受けた方から「近々転職予定なのですが、固定残業制の会社はやめておけと友人から強く引き留められました」という話を聞きました。
聞くと、相談者の友人の周囲では固定残業を悪と見なす風潮があるようです。そこで、固定残業制が何かについて詳しく解説していきます。

固定残業制の概要

固定残業制とは、一定時間分の残業代が毎月「固定残業代」として支給される制度です。例えば、「20時間分の固定残業代として、毎月3万円を支給」とあれば、20時間の残業をしなくとも、固定残業代の3万円が支給される、という具合です。

また、20時間を超える残業があれば、超過分は追加支給されます。例えば、30時間の残業をしたら、超過する10時間分の残業代1万5000円を、別途受け取れるということになります。

固定残業制は労働者からすると、所定の時間内に収まればその分は残業しなくても残業代が得られる上、超過しても賃金が追加支給されるので、損をしない制度に思えます。では、なぜ固定残業制を「悪」ということがあるのでしょうか。

 

固定残業制度は、残業が常態化する原因になっていることがある

固定残業制が悪く言われる理由の一つは、固定残業制によって残業が常態化している職場であることが予想されるためです。独立行政法人2022年3月31日に発行された、労働政策研究・研修機構の「労働時間の研究―個人調査結果の分析」より、「固定残業代時間数と実労働時間のクロス表」を見ると、固定残業制によって定められた固定残業の時間が長ければ長いほど、労働時間も長くなっています。

 

図表

 

 

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働時間の研究―個人調査結果の分析」図表 4-3-24

 

それもそのはずで、基本的に皆が効率よく仕事をこなし残業0時間で業務を終わらせた場合、会社は本来支給しなくてもよい残業代を、固定残業代として支払わなければならなくなるのです。それにもかかわらず固定残業制を導入するということは、毎月固定残業制に近いだけの残業が生じるのだろうと考えられます。

 

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