オバマ合意に含まれた問題点
オバマ合意には様々な問題が含まれていたかもしれませんが、少なくとも「向こう15年間は高濃度のプルトニウムを作らせない」という確固たる制約がかけられていました。
トランプ氏は「そんなものは甘っちょろい。15年経ったらまた変なことをやるだろう」と勇ましく合意を反故にしました。しかし結果としてどうなったか。15年間作らないという約束が破棄された瞬間から、イランは堂々と高濃度プルトニウムの製造を再開してしまった可能性が指摘されます。
それが今、最も厄介な問題として国際社会に重くのしかかっています。アメリカが安易に離脱したために、皮肉なことにイランを非常に有利な立場に立たせてしまった。
今になって関連施設を物理的に攻撃して潰そうとしても、すでに強固な容器に保管された高濃度の核物質は潰せません。土中から掘り起こせば、いつでも兵器転用が可能になる状態にあると言われています。
アメリカとしても、核兵器開発をやめさせるという目的を掲げたからには、簡単には引き下がれません。拳を振り上げた以上、両国とも「勝った」という体裁を整えなければ矛を収めることはできない。しかし、出口は全く見えないのです。
総理官邸機能の弱さ、有能なブレーンの不在
イランもホルムズ海峡の緊張で石油の輸出入が滞り、資産も凍結され、経済的に強く締め付けられています。本音を言えば双方がこの不毛な対立を「やめたい」と思っている。
しかしメンツのせいで終われない。したがって今後は、激しい戦火は交えないまでも、ダラダラと続く「低い戦争(低強度紛争)」状態が相当長く続くと見るべきでしょう。
こうした厳しい国際情勢のなかで、日本の政府がポピュリズム的、あるいは場当たり的な政策に傾斜してしまう背景には、決定的な弱点があります。それは「総理官邸機能の弱さ」、もっと言えば有能な「ブレーンの不在」です。
日本の政治において、官邸が強力なリーダーシップを発揮するために極めて重要な役割を果たすのが、官房長官、そして「官房副長官」です。
官房副長官は、国会との調整、与党内の複雑な利害関係の集約、そして霞が関のコントロールなど、実務において極めて重い役割を担います。
小泉内閣の時、その重責を担っていたのは誰だったか。後に総理となる安倍晋三氏です。彼は官房副長官として歴代最長の記録を持ち、北朝鮮電撃訪問の際もこのポジションで辣腕を振るいました。

