免責金額とはどういう意味? 自動車保険や火災保険での違いも分かりやすく解説します

損害保険の中には「免責金額」が設定されているものがあります。免責金額は、簡単にいえば修理や買い換えが必要になったとき、自己負担する金額です。

免責金額によって、払い込む保険料や保険金の支払額が変わることがあります。また契約者自身が免責金額を指定できることもあれば、保険会社によってあらかじめ決められていることもあります。

損害保険に加入するときは免責金額についてよく理解しておかなければなりません。火災保険や自動車保険などに適用される免責金額についてわかりやすく解説します。

免責金額とは自己負担額のこと

免責金額とは、保険会社が保険金を支払うとき、損害額のうち自己負担する金額を指します。

車が事故によって損害を負ったときの補償である「車両保険」を例に、交通事故で車が大破し20万円の修理費用がかかったケースで、免責金額の仕組みを解説します。

車両保険の免責金額が5万円である場合、保険の支払額は、修理費用20万円 – 免責金額5万円 = 15万円 です。修理費用20万円のうち、5万円は自己負担となります。

免責金額を高く設定するほど、払い込む保険料は安くなります。

車両保険はいらない?補償内容や必要か判断する基準をわかりやすく解説

免責事項と免責金額の違い

免責金額が損害額のうち自己負担する金額であるのに対し、免責(事項)は保険金がまったく支払われない事例のことです。

例えば、損害保険のほとんどは「地震・噴火・津波による損害」が免責となっています。仮に、車両保険に加入していたとしても、地震によって車が壊れたとき基本的に保険金は支払ってもらえません。

また、火災保険については、建物の老朽化や腐食などは補償の対象外です。

他にも「重大な過失や法令違反によって生じた損害」や「戦争・紛争・騒乱などによる損害」も免責事項となっています。損害保険に加入する際は、免責事項をよく確認することが大切です。

(広告の後にも続きます)

自動車保険の免責金額

免責金額の決め方や仕組みを保険の種類ごとにみていきましょう。まずは、自動車を運転していたときの交通事故による損害を補償する「自動車保険」の免責金額を解説します。

自動車保険の補償のうち免責金額を検討することが多いのは、修理費用や買い換え費用を補償する「車両保険」です。

車両保険の免責金額

車両保険の保険金に免責金額が適用されるのは、事故に遭った車の修理費用が車の時価相当額を下回り「分損」と認定されたときです。車が分損に認定されると「損害額 – 免責金額」で保険金の支払額が計算されます。

車両保険の免責金額は、1回目の事故と2回目以降の事故で別々に設定するのが一般的です。

例えば「1回目5万円、2回目以降10万円」と免責金額を設定した場合、1回目の事故は5万円、2回目以降は10万円がそれぞれ自己負担する金額となります。

また、免責金額を0円にしたり「1回目10万円、2回目以降10万円」のように同じ金額にしたりすることも可能です。

一方で、車の修理費用が時価相当額を上回ったときや、車両が盗難にあったときは「全損」となります。全損に認定されると、免責金額が差し引かれることなく、契約時に車の時価を参考に決める「保険金額」のすべてが支払われます。

車両保険の免責ゼロ特約とは

免責ゼロ特約とは、車両保険の免責金額が1回目の事故に限って0円になる特約です。免責ゼロ特約を付けることで、1回目の事故の免責金額を0円にしたときよりも保険料を安くできます。

また、保険会社によっては、車対車の事故に限る免責ゼロ特約を付けられます。すべての事故が対象である免責ゼロ特約よりも保険料をさらに抑えられますが、初回の事故が単独事故や当て逃げであったときは自己負担が発生する点に注意しましょう。

車両保険に免責ゼロ特約を付けられるのは、ノンフリート等級が7等級以上のときです。ノンフリート等級は、補償の対象になっている車を主に運転する人の事故実績に応じて区分される等級です。

ノンフリート等級は1〜20等級まであり、数値が高いほど保険料は安くなっていきます。7〜20等級に区分されていれば免責ゼロ特約を付帯できますが、1〜6等級に区分されていると付帯できません。

【自動車保険とは?種類や補償内容、等級制度をわかりやすく解説】

車両保険はいらない?補償内容や必要か判断する基準をわかりやすく解説

車両保険以外の免責金額

自動車保険では、対物賠償責任保険にも免責金額を設定できます。対物賠償責任保険とは、事故相手の車やモノを壊して法律上の損害賠償責任を負ったときの補償です。

また自動車保険に付帯できる特約のうち「身の回り品補償特約(車内身の回り品特約)」にも5,000円程度の免責金額が設定されるのが一般的です。

身の回り品補償特約を自動車保険に付けていると、自動車保険の契約車両の室内やトランクに積んでいたモノが損傷したり盗難に遭ったりしたときに補償されます。

例えば、車上荒らしに遭って車内に置いていたカメラが盗まれたとしましょう。身の回り品補償特約に加入していれば、カメラの時価額または修理費用のうち低い金額から、5,000円を差し引いた額の保険金が支払われます。

このように自動車保険には車両保険以外にも免責金額が設定されることがあるため、契約時によく確認しておきましょう。