パリのハイジュエリー展示会でため息。夏の煌めきを高める職人の匠

パリではこの夏、各ハイブランドがジュエリーの展示会を開催。圧倒的な存在感を放つ至極のダイヤモンド、叙情的な表現で海への憧憬を掻き立てる作品、夜空に輝く天体をモチーフにしたコレクションなど魅力的な意欲作が煌めき集った。

ヴァン クリーフ&アーペル 歴史的なコレクション「レジェンド オブ ダイヤモンド‐25 ミステリーセット ジュエルズ」の誕生


ヴァンドーム広場の展示会場では、一つの大きなダイヤモンド原石から生み出された25点のコレクションが存在感を放つ。

ヴァン クリーフ&アーペルは、〈レソト レジェンド〉と呼ばれる910カラットという並外れた大きさの一つのダイヤモンド原石から、25点のジュエリーコレクションを生み出した。この原石は、サイズと品質のどちらにおいても、これまでの歴史上、世界で5番目に位置づけられ、最高のDカラー、美しい結晶、さらに入手困難なタイプ2Aの化学組成という要素を兼ね備えている。
このコレクションに使われている67石のダイヤモンドは、原石のほぼ半分(計441.75カラット)に相当する。メゾンの美的基準を満たしながら、最高の輝きと美しさを引き出すよう、細心の注意を払って、理想的なプロポーションに整えられた。ヴァンドーム広場にあるアトリエで、マンドール(黄金の手)と呼ばれる卓越した伝統を受け継ぐ職人が、3万時間以上かけてこのコレクション全体に命を吹き込んだ。


本コレクションで最も重量の大きい79.35カラットのダイヤモンドを使用した「アトゥール ミステリユー」ネックレス。ルビーに囲まれたオーバルカットのダイヤモンドが燦然と煌めく。


本コレクションの主要な作品の一つである「シェブロン ミステリユー」ネックレスは、1950年代のファッションと、当時のイブニングドレスに流行した交差する襟のデザインに着想したジュエリー。カラフルなネックレスから、31カラットを超えるひと際大きなダイヤモンドが中央を飾り、その両側に、それぞれ約12カラットのダイヤモンドが添えられている。

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ショーメ 海を叙情的に表現した「オンドゥ ゼ メルヴェイユ ドゥ ショーメ」コレクション


ショーメのヴァンドーム本店サロン内に設営された展示会場エントランス。茜色が入り交じる背景は、海への憧憬を掻き立てるだけでなく、夏の終わりの哀愁なども想起させる。

ショーメは、水や生命の源である海をテーマに、波の動きや、海にまつわる生命への賛歌を叙情的に表現したコレクションを発表。
1780年の創業以来、さまざまな自然の要素から受けるインスピレーションをもとにジュエリーをデザインしてきたショーメは、今回、初めてコレクション全体を“海”にフォーカスを当てた。穏やかな水面にできる波、水中の宝探し、湾流に乗り込む船など、様々な海のイメージを表現し、ジュエリーを身につける人を魅惑的な旅へといざなってくれる。


人魚の歌声という意味をあらわす「シャン ドゥ シレンヌ」は、緑色に輝くトルマリンに、タヒチ産のグレーパールをあしらった繊細かつ豪華なネックレス。会場エントランスに飾られた作品は、多くの来場者を魅了していた。


ライトグレー、モーヴ(薄く灰色がかった紫)の天然パールとサファイアの色合いが対話する特別なコレクションを創り出した「コメットデメール(海の彗星)」


港や入り江で帆を降ろし、エンジンを切ったときに訪れる空白の時間にインスピレーションを受けた「エスカル(寄港)」。ショートネックレスには、透明な海を思わせるサファイアを背景に、レンガ色に輝くスピネルが並んでいる。