後見人・保佐人・補助人の違いとは?役割や権限の違いをわかりやすく解説!

成年後見人制度の保護者には、後見人・保佐人・補助人の3種類があり、付与される権限も異なります。判断能力が低下した場合、判断能力のレベルによりどの類型の保護者(後見人、保佐人又は補助人)を選任するかを裁判所が判断しますが、利用にあたって理解を深めておきましょう。

判断能力はどのレベル?後見人・保佐人・補助人の選定基準

どの保護者が選任されるかは、本人の判断能力がどれくらい低下しているかによって変わります。判断能力を評価するためには家庭裁判所の書式での医師の診断書が必要です。

かかりつけ医など本人をよく知る医師が診断を行い、診断書にチェックを入れていきます。チェック項目の主な内容は、本人が財産を管理・処分できるかどうかというものです。

イメージしやすいように簡単にいうと、
・自分で管理も処分もできない場合は、後見相当
・サポートがいる場合は、保佐相当
・一部の行為にサポートがいる場合があるなら補助相当
という判断になります。

成年後見制度の3類型比較表に照らし合わせると
・常に判断能力を欠く場合は後見相当
・著しく不十分な場合は保佐相当
・不十分な場合は補助相当
という分類になっています。

本人がどれに当てはまるかによって提出すべき書類も異なります。

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成年後見制度を利用する時の流れ

成年後見制度を利用する際は、居住地を管轄する家庭裁判所に申し立ての手続きが必要です。書類を準備して提出した後に審判が行われ、保護者が選出されます。

必要な書類

必要書類として以下のものが求められます。

・申立書
・本人の戸籍謄本
・本人および代理人候補者の住民票または戸籍附票
・親族関係図
・医師による診断書
・健康状態に関係する資料(介護保険認定書、障害者手帳などの写し)
・財産関係の資料(預貯金通帳写し、不動産関係書類、ローン契約書写しなど)
・収支関係の資料(給与明細、確定申告書、家賃・地代領収書、納税証明書、介護保険料の決定通知書など)
・成年後見人などの登記がされてないことの証明書
・本人情報シートの写し
・契約書写しなど、同意権や代理権を要する行為

申し立て方法

後見・保佐・補助開始等申立書に、申し立て理由や必要事項を書き込みます。裁判所の公式ウェブサイトなどでダウンロードして入手してください。戸籍や住民票は、市役所、登記の証明書は法務局で入手できます。発行書類は直近3ヶ月以内のものを提出してください。

申し立てができるのは、本人以外に配偶者、4親等以内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人・保佐人・後見人やその監督人、検察官、市区町村長です。任意後見契約をしている場合、任意後見人、任意後見受任者、任意後見監督人も申し立てられます。

裁判所に払う手数料(収入印紙800円分、権限の拡張・付与がある場合は加算あり)、本人の能力を確認する鑑定費用(5~20万)などがかかります。基本的には申し立てをした人が一旦は費用を負担しますが、裁判所の審判の結果、最終的に本人負担になることが多いです。なお、補助を開始したい場合は、本人の同意が必要です。

申し立ての準備が整ったら、書類を家庭裁判所に提出してください。

サポート後の対応

成年後見制度が開始されたら、保護者は家庭裁判所に年に1回定期報告をする必要があります。提出時期が近づいてきても特に通知は来ないため、自主的に忘れずに提出しなければなりません。
定期報告では、前年の財産・収支状況の変化を記載するため、提出する前に後見等事務報告書、財産目録を必ずコピーしておいて、来年の提出に備えましょう。書式が変更されることもあるので、必ず毎年最新のものかを確認してください。

後見人・保佐人・補助人やその監督人が申し立てをした場合、本人の財産から報酬を支払われることもあり、報酬額は裁判所が決定します。
報酬額は、管理する財産の額にもよりますが、一般の人が後見人になった場合は大体月額1万~2万円ほど、財産管理の代理権がある場合や司法書士や弁護士など専門家が後見人になった場合は月額3万~7万円ほどが目安です。家族が後見人を務める場合は、報酬に関する申し立てをせずに無報酬で行うこともあります。