おもしろそうな物事を見つけても、行動に移すだけの体力がないとチャンスを逃してしまいます。梅酒や梅干し、梅肉エキスなどは、薬のような即効性はありません。けれども毎日少しずつとることで、体の回復力を高めてくれていると感じます。そうした意味では、梅は私にとって「元気の素」といえますね。【体験談】南果歩(女優)

プロフィール

南果歩(みなみ・かほ)

1964年生まれ。兵庫県出身。84年、映画『伽耶子のために』のヒロイン役でデビュー。90年にブルーリボン賞助演女優賞、2005年に高崎映画祭最優秀助演女優賞など受賞多数。NHK朝の連続テレビ小説『梅ちゃん先生』ほかドラマや舞台でも幅広く活躍。22年2月にはエッセイ『乙女オバさん』(小学館)を刊行。22年3月、AppleTVオリジナルシリーズドラマ『PACHINKO』が全世界配信開始。21年5月27日、『義足のボクサー GENSAN PUNCH』(ブリランテ・メンドーサ監督)が公開。
※映画『伽耶子のために』の耶はにんべんに耶が正式表記

(広告の後にも続きます)

「健康にいいから」と母に梅酒を勧められた

18歳で親もとを離れ、東京に出てきた私にとって、「梅酒」は母の愛情を思い起こさせてくれる存在でもあります。

私は5人姉妹の末っ子で、幼いころに両親が離婚。母は飲食店を経営し、女手一つで私たちを育て上げてくれました。

そんな忙しい母が唯一、毎年続けていた梅仕事が、梅酒を漬けることでした。「健康にいいから、梅酒を飲みなさい」と勧めてくれたのも母でしたね。

というのも、私はかつて体が弱く、学校の朝礼で貧血を起こして倒れるような子でした。食が細くて一度にたくさんは食べられません。しだいに「どうせ食べるなら、いい物を少なく」と健康志向に。6年前に乳がんを患ってからは、ますます体に気をつけるようになりました。

自分で梅酒を漬け始めたのは30代になってからです。いつも無農薬の紀州南高梅を取り寄せて作ります。昨年は、2種類の梅酒を漬けました。

年月を経て熟成を深める南さんの梅酒

1つは、梅500gに対し、大分の麦焼酎を1Lと、てんさい糖を100g入れて漬けた物(上の写真右端)。

もう1つは、梅を500gにラム酒を700ml、てんさい糖350g、そしてバニラビーンズを1本加えた物です(上の写真右から2番め)。ラム酒は沖縄県の南大東島産。いずれも知人に教えてもらったレシピを、砂糖の量を減らすなど、自分なりに少しアレンジしました。

どちらもお気に入りですが、ラム酒のほうがコクがあって楽しいかな。温かくして飲むのが好きなので、たいていはお湯割りです。友人が遊びに来たときに振る舞うほか、寝つけない夜に少量飲むこともあります。