ひざ周りの筋肉が軟骨のすり減りに関与している

加えて、片足立ちはひざ痛にも有効です。

中高年のひざ痛の大きな原因は「変形性ひざ関節症」です。この病気は、ひざの軟骨がすり減って関節の中で炎症が起こり、ひざが痛くなったり、腫れたり、水がたまったりします。

重要なのは軟骨に負担をかけないこと。そのためには、ひざ関節周辺の筋肉をしっかり強化することがたいせつです。

ひざ関節は、太ももの骨とすねの骨が4本の靱帯でつながってできています。しかし靱帯でつながっているだけでは、関節はグラグラします。

これをしっかりと支えているのが筋肉です。ひざ関節周辺の筋肉を鍛えると、ひざ関節は安定して、正しく曲げ伸ばしできるようになります。

その結果、軟骨に負担がかからず、すり減るのを抑えられて、変形性ひざ関節症の進行原因である炎症を止められるのです。運動することで筋肉を強化すると、巡り巡って痛みが和らいでいくわけです。

逆に、ひざ関節周辺の筋肉が衰えると、ひざ関節は不安定になります。軟骨に過度な負荷がかかり、さらに軟骨がすり減って、変形性ひざ関節症が進行してしまいます。

そもそも、変形性ひざ関節症のスタートは軟骨のすり減りです。筋肉の衰えは、変形性ひざ関節症の発症も招くのです。

前述のとおり、片足立ちは下半身の筋肉を鍛えます。もちろんひざ周辺の筋肉も含まれるので、こうした理由から、変形性ひざ関節症の予防や悪化防止、痛みの緩和に一役買います。

ただしО脚がひどくなるほどひざが悪化している人は、片足立ちを控えてください。ひざにかかる負荷が大きく、さらに痛みが増える可能性があります。

片足立ちで立てる時間の長さは、ロコモティブシンドロームが進行している状態の「運動機能不安定症」の診断にも使われています。理屈としても対策としても、病気の判定としても有用な片足立ちを、ぜひ習慣にしてはいかがでしょうか。

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石橋先生お勧めの
片足立ちのやり方

※机やイス、壁など、転びそうなときにすぐつかまれる物の近くで行う。
※転倒の心配がある人は、机やイスに手や指を着いて行う。
※1日3回行う。食直後以外なら、いつ行ってもかまわない。
※ひどいО脚を伴うひざ痛がある人は控える。

❶右足を5~10cm床から浮かせて、左足で1分立つ。
❷左右の足を入れ替えて、①と同様に行う。

この記事は『壮快』2022年8月号に掲載されています。

画像参照:https://www.makino-g.jp/book/b607723.html