死後事務委任契約とは?利用すべき人や依頼先、依頼内容、費用を解説

死後事務委任契約を交わせば、自身が亡くなった後のさまざまな事務手続きを委任できます。本記事では、死後事務委任契約の概要や依頼の流れ、委任先、注意点などについて解説します。終活を行う上で、利用できる契約をうまく活用しましょう。

死後事務委任契約の流れ

死後事務委任契約は、委任先を選定した上で委任内容を決定し、委任先の方と契約書を作成します。契約書の作成が難しいと感じる人は、法律の専門家へ相談しながら進めるとよいでしょう。

契約をするタイミング

まずは、死後の手続きを誰に委任するかを決めます。契約を締結するタイミングとしては、健康状態や判断能力に問題ない時期がベストです。判断能力が不十分になってから契約を進めると、後々契約の有効性が争われたり、盛り込むべき内容に不備が生じるおそれがあります。

また、認知症が突如発症し、判断能力が著しく低下する可能性も否めません。心配な人はできるだけ早めに手続きを行うことをおすすめします。

委任内容を決定する

死後に何をどうしてほしいのか、詳細を決定するプロセスです。

【葬儀や埋葬の手続き】
依頼する葬儀社や希望する葬送の方法など

【親族や知人などへの連絡】
死後に連絡してほしい親族や知人、友人などの連絡先や連絡方法

【医療費などの清算】
現在通院又は入院中の医療機関名や既に医療費の未払いがある医療機関名、金額、支払方法

【遺体の引き取り】
遺体を引き取ってもらう相手の氏名や連絡先など

【住まいや家財に関すること】
賃貸借契約をしている物件名や住所、管理会社の名称及び連絡先、家財の処分方法、権限を委任している旨を記載

【未払料金】
未払料金の支払先と金額、支払方法

【サービスの解約】
契約しているサービスの名称と解約方法、解約を委任している旨

必要書類をそろえる

死後事務委任契約の締結に、公正証書を作成する場合には、必要な書類は以下のいずれかです。

・印鑑登録証明書と実印
・自動車運転免許証と認印
・写真付き住民基本台帳カードと認印
・写真付き個人番号カードと認印

すべてをそろえるわけではなく、いずれか1つのセットで問題ありません。なお、印鑑登録証明書は3ヶ月以内に取得したものが必要です。これらは、委任者と受任者それぞれが準備します。

公正証書で契約書を作成

「公正証書」は、公証人が内容を証明する文書であり、証明力と執行力を備えた文書であるため、死後事務委任契約の契約書も公正証書で作成するのが安全です。また、契約書の作成前に、公証人が本人の前で内容を確認することから、漏れやミスを防ぐ効果も期待できるでしょう。

不安な人は専門家に相談

死後事務委任契約は、自身でも行えますが、きちんと締結できるか不安であれば、司法書士や弁護士など、法律の専門家へ相談しながら作成することがおすすめです。法的な観点や死後によくある問題などを踏まえてアドバイスしてもらえるため、漏れやミスのない契約書を作成できます。

(広告の後にも続きます)

契約にかかる費用

契約で発生する費用には、公正証書を作成する場合には公証役場に支払う手数料、受託者に預ける「預託金」のほか、専門家への依頼料などがあります。預託金は、死後の事務手続きをスムーズに執り行うためのお金で、受託者の報酬と一緒にして受託者に預けておきます。

また、専門家への依頼料には、司法書士や弁護士などに支払う相談料、書類の作成費用、各種手続きに発生する報酬などが含まれます。