死後事務委任契約とは?利用すべき人や依頼先、依頼内容、費用を解説

死後事務委任契約を交わせば、自身が亡くなった後のさまざまな事務手続きを委任できます。本記事では、死後事務委任契約の概要や依頼の流れ、委任先、注意点などについて解説します。終活を行う上で、利用できる契約をうまく活用しましょう。

死後事務委任契約での注意点

死後事務委任契約の注意点として、トラブルの発生や法的有効性の検討が挙げられます。また、自治体が行う死後事務に関しても注意すべきです。

トラブルが発生する可能性がある

死後事務委任契約では、委任先の倒産や廃業などのトラブルの発生が考えられます。例えば、自身が亡くなる前に、契約を締結していた法律事務所が廃業してしまうと、最悪の場合、預けていた資金が返ってこないおそれがあるでしょう。

また、家財の処分を委任されていた友人が作業をしている際に、故人の親族から「勝手なことをするな」と責められ、受任者と親族が揉める可能性もあります。

法的有効性の検討が必要

委任契約は民法により、委任者の死亡で契約が終了するとされているため、死後事務委任契約を締結していても、契約書の内容次第では、契約が無効になるおそれも否定できません。

上記のリスクを避けるため、死後事務委任契約は司法書士や弁護士など、法律の専門家からサポートを受けながら進めることがよいでしょう。

自治体が行う死後事務

自治体は、身寄りがない人の火葬や埋葬を行っています。ただ、火葬や埋葬を行うだけなので、家財の処分やサービスの解約など、死後事務の手続きにはノータッチです。

ただ、近年は終活支援を行う自治体も登場しています。例えば、横須賀市では葬儀や家財処分の契約先、緊急連絡先、遺言書の保管先、お墓の所在地などを、生前にまとめて登録できるサービスを提供しています。あくまで終活支援の一環であり、死後事務を約束するサービスではない点に要注意です。

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まとめ

死後事務委任契約の締結により、死後の手続きを滞りなく進めてもらえます。親族がいない、疎遠である、頼りたくないなど、家庭の事情を抱える人は、この制度の利用を検討してみるとよいでしょう。自身で進めることが不安な人は、司法書士や弁護士への相談をお勧めします。

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堀智弘

堀総合法律事務所代表、大阪弁護士会所属。単独で事務所の代表を務め「経営のわかる弁護士」として中小企業経営者に寄り添うとともに、素早く丁寧で法律論に囚われない柔軟な対応により一般の市民の方々からも好評を得ている。業務は中小企業の支援と相続問題が中心。年間相談件数300件以上。セミナー・講演実績も多数。