人生の3大支出の1つは教育費だといわれています。親として子供の学費を準備してあげたいという気持ちはみなさん共通する点だと思います。ただし、教育費と一言でいっても、私立の医学部ともなれば数千万円が必要な場合もありますし、一人っ子の家庭が増えているため、子供1人に対して充実した教育環境を整えたいと思う場合もそれなりの学費が必要となります。特にいまは、入学試験のための塾代などが大きな負担になるというご家庭も多いようです。

一方、子供が2人、3人といる場合もそれだけ学費がかかります。それぞれが一人暮らしともなると月々の出費はかなりの金額となります。このようにさまざまな理由で奨学金を検討する世帯が増えています。中には日々の生活を維持するだけでいっぱいになり、奨学金を返せないという状況に陥る人も。諸事情で返済が難しい方には猶予制度や減額制度も用意されています。このあたりも含めて詳しく解説していきます。

奨学金制度には「貸与型」と「給付型」の2種類がある

日本学生支援機構の奨学金には以下のように大きく貸与型と給付型があります。

貸与型

第1種 無利子

特に優れた学生及び生徒で経済的理由により著しく修学困難な人に貸与します。

第2種 有利子(在学中は無利子)

1種より収入基準が緩やか

給付型

返還の必要なし

住民税の非課税世帯・それに準ずる世帯等

特に給付型は2020年4月より授業料の免除・減額制度と給付金を合わせて利用できるようになるなど、学ぶ意欲のある学生にとっては大変充実した制度となります。

同機構の調査結果によりますと、大学、短大、高等専門学校などの高等教育機関で学ぶ学生のうち、2.7人に1人(2017年度)が同機構の奨学金を利用して通学しています。10年前(2007年度)が3.4人に1人だったことと比較しますと、奨学金に頼る学生が増えていることが分かります。筆者も10年以上私立大学で非常勤講師を務めていますが、休憩中に奨学金の話をしている学生が増えているように感じています。

奨学金は借りた後が重要です。一般的には卒業後に返済を開始しますが、在学中に見込んでいた給与水準ではなかった、給与が減ったなどという理由で滞納をする人も少なくないようです。

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奨学金の返済が困難な人は「猶予」「減額」「免除」の制度活用も


奨学金
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返済義務のある奨学金は、卒業後に社会人として働きながら返済していくことになります。ただし、予想していた以上に給与が少なく生活が苦しいこともあるでしょうし、気持ちが変わり大学院に進学するという人もいるでしょう。最近は自然災害も多いため、地震や豪雨被害により奨学金の返済どころではないという状況にある人もいるでしょう。

そんな際には、所定の願出用紙にマイナンバー(初回のみ)を添えて「独立行政法人日本学生支援機構の猶予減額受付窓口」に申請することで手続きを行うことができます。猶予したからといって、返済の総額が変わるわけではありませんが、最長10年(120カ月)猶予できます。つまり返済を先延ばしすることができるのです。なお、災害などの一部事由の場合はその状態が継続している限り猶予することも可能です。

基準

期間

猶予制度

給与収入300万円以下など

最長10年

減額制度

給与収入325万円以下など

最長15年

※どちらも1年に1回申請を出す必要があります

経済的な状況が改善した場合は、都度手続きをすることで返済を再開することもできます。猶予ほどではない場合でも減額制度がありますので、月々の返済額を2分の1や3分の1に減額して返済を続けることが可能です。