マンションの固定資産税はどのくらい?税負担の軽減措置も紹介

マンションを購入するとさまざまな税金がかかります。今回は、マンションの固定資産税について、計算方法、築年数による変化、税負担軽減措置についてご紹介します。不動産を保有しているだけでなく、購入時や売却時にも税金や費用がかかるので、軽減措置等を上手く活用しましょう。

実際にかかる固定資産税を新築・中古で計算!

固定資産税評価額は3年に1度の評価替え時に、建築後の経過年数による価値の減少率である「経年原価補正率」を乗じて算出するので、原則として建物部分については築年数が増すごとに評価額が下がり、建物にかかる固定資産税の税額も下がっていきます。
では、実際に築年数が増すごとに固定資産税納税額がどう変わっていくのか、東京都内にある専有面積100㎡のマンションの新築時、築10年時、築25年時を例に確認していきましょう。

新築マンションの固定資産税

専有面積が100㎡で固定資産税評価額(課税標準)が2,000万円の新築マンションの固定資産税を計算します。
2024年3月31日までに新築された住宅は、120㎡(課税床面積)までの部分について、3年間または5年間にわたって固定資産税が2分の1に軽減される特例措置が取られています。したがって、固定資産税額は以下の式で求めることができます。

新築時の固定資産税納税額=2,000万円×1.4%×1/2=14万円

築10年のマンションの固定資産税

東京都が定める築後10年の「経年原価補正率」(非木造建物)は、0.7397です(2018年度)。新築時に2,000万円だったこのマンションの固定資産税評価額は、10年後には1,479万4,000円(=2,000万円✕0.7397)に下がることになります。したがって、築10年時の固定資産納税額は20万7,116円です。固定資産税が2分の1に減額される新築住宅への軽減特例の適用期間(5年間)が過ぎているため、新築時よりも固定資産税納税額が上がってしまうことがわかります。

築10年時の固定資産税納税額=2,000万円✕0.7397✕1.4%=20万7,116円

築25年のマンションの固定資産税

東京都が定める築後25年の「経年原価補正率」(非木造建物)は0.3992です(2018年度)。新築時に2,000万円だったこのマンションの固定資産税評価額は、25年後には798万4,000円(=2,000万円✕0.3992)に下がることになります。したがって、築25年時の固定資産税納税額は11万1,776円です。

築25年時の固定資産税納税額=2,000万円✕0.3992✕1.4%=11万1,776円

【出典】 東京都法務局「経年原価補正率(PDF)」 詳しくはこちら

戸建て住宅の固定資産税はどのくらい?

戸建て住宅の固定資産税は平均10万円~15万円で、マンション(平均8~12万円)に比べて高額になります。理由は、戸建て住宅では「建物」と「土地」という2つの不動産にそれぞれ固定資産税が課税されるからです。なお、固定資産税の税率は1.4%が標準とされていますが、地域によって異なることに注意が必要です。

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固定資産税の軽減措置一覧

不動産を所有している限り必ず課される固定資産税ですが、国はその負担を軽減するための措置を設けています。

新築マンションの軽減措置

2022年3月31日までに新築された住宅は、120㎡(課税床面積)までの部分について、以下の通り3年間または5年間にわたって固定資産税が2分の1に軽減される特例措置が取られています。
なお、中古で購入した場合も、この軽減措置に残り期間がある場合は、新たに購入した者が軽減措置を引き継いで受けることができます。

【新築住宅の特例措置期間】
・3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅:新築後5年間
・上記以外の一般住宅:新築後3年間

したがって、3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅に該当する新築マンションは、新築後5年間にわたって、固定資産税が2分の1に軽減されることになります。

認定長期優良住宅の軽減措置

耐震性、耐久性、可変性等に優れ、適切な維持保全が確保される認定長期優良住宅の普及のため、国では現在、2024年3月31日までに一定の認定長期優良住宅の新築または取得した場合に固定資産税が一定期間、軽減される特例措置を取っています。

【認定長期優良住宅の特例措置期間】
・3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅:新築後7年間
・上記以外の一般住宅:新築後5年間

タワーマンションの軽減措置

居住用超高層建築物(いわゆるタワーマンション)は、高層階ほど取引価格が高い傾向にありますが、床面積が同じであれば、所在階数に関わらず固定資産税・都市計画税の税額は同額になっており、税負担の不均衡が問題視されていました。
そこで国は、2017年の税制改正でタワーマンションに係る固定資産税・都市計画税の取扱いを見直して層に応じた階層別専有床面積補正率(階層別専有床面積補正率)を創設、高層階を増税する一方、低階層を減税する措置を講じました。補正率は、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が1つ増えるごとに、これに10/39を加算した数値とされ、次の計算式で求めることができます。

階層別専有床面積補正率(%)=100+10/39×(階数-1)

この補正率を用いて算出すると、例えば、1階の固定資産税が100の場合、40階の固定資産税は110となります。

土地の固定資産税と都市計画税の軽減措置

住宅用地は課税標準をそれ以外の土地の3分の1に減額、特に200平方メートル以下の用地(小規模住宅用地)に対する課税標準は6分の1に減額する特例措置が取られています。
同じく都市計画税についても、住宅用地は課税標準を3分の2に減額し、特に200平方メートル以下の用地については3分の1に減額する特例措置が取られています。これらの措置には特に期限は設けられていません。