医療保険の選び方を年代別・6ステップ別に解説!

医療保険は、何が起こるか予測が難しい未来(リスク)に、備えるセーフティーネットです。

ですが、昨今では数多くの保険商品が(保険会社から)発売されているため、自分にぴったりな医療保険を判断するのが難しくなっています。

そこでこの記事では、それぞれの年代にぴったりな医療保険の選び方を解説します。

【年代別】医療保険の選び方

年代別の医療保険の選び方は以下のとおりです。

【年代別】医療保険の選び方

20代:必要最低限の保障にして、毎月の保険料負担を抑える

30代:ライフスタイルの変化に応じて必要な保障を選ぶ

40代:健康リスクが飛躍的に高まる年代 これまで以上に保障を手厚く準備する

50代:子どもの独立やライフステージの変化に合わせて保障を見直す

60代:介護や認知症に対する備えを考えながら定年退職後の収入減少に備える

70代以上:公的医療保険の自己負担を考慮しつつ最小限の保障にしぼる

20代:必要最低限の保障にして、毎月の保険料負担を抑える

20代の方は、一般的には就職したばかりで収入が少ない傾向にある人が多く、貯蓄もそこまで多くないことが考えられます。

そのため、独身の場合は必要最低限の保障にしぼって、毎月の保険料負担を抑えることを心がけるようにしましょう。

しかし、結婚をしていて子どもがいる20代の方は、医療保険で手厚い保障を備えておく必要性が高いといえます。

自身に万一のことがあった場合に生活に困る家族がいる場合は、入院給付金日額の金額を大きくするなど、保障を手厚くしておきましょう。

また、多くの医療保険は年齢が若いうちから加入していたほうが保険料負担は低い傾向にあります。

毎月の保険料負担と年齢のバランスを考慮しながら、加入検討しましょう。

20代に生命保険は必要ない?加入のメリットと独身・既婚別20代の保険の考え方

30代:ライフスタイルの変化に応じて必要な保障を選ぶ

30代になると、転職や結婚、子供の誕生などで20代に比べてライフスタイルが変化する人が多くなります。

いずれの場合においても、30代に入ると20代よりも健康上のリスクが上がるため、入院や手術などで働けなくなった場合に備えておく必要があります。

特に、女性の方は女性特有の病気(乳がんや異常分娩など)に対するリスクを考慮して、婦人科系の病気に対する保障を手厚く準備しておきましょう。

また、子供がいる場合は自身が病気やケガで入院した時に、収入の減少や治療費などの出費が発生してしまいます。

そのために、必要に応じて医療保険や就業不能保険などで備えておきましょう。

一方、独身の場合は、自身の健康や将来の収入に対するリスクを自身で賄わなければなりません。

既婚の方に比べて大きい保障は必要ありませんが、40代・50代になるにつれて健康リスクが増大していくので、年齢が若いうちから備えておきましょう。

30代におすすめの生命保険は?選び方や男女別の加入率を紹介

40代:健康リスクが高まる年代 これまで以上に保障を手厚く準備する

40代の方は、健康リスクが高まる年代なので、これまで以上に保障を手厚く準備しておくことが大切です。

厚生労働省の調査によると、40代の男女別の死因数は、以下のとおりとなっています。

参照:第7表 死亡数・死亡率 性・年齢・順位別|令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

40代男女の死因割合をみると、男女ともに「悪性新生物(がん)」や「心疾患」、「脳血管疾患」が上位を占めています。

特に、女性の場合は乳がんや子宮がんなど、女性特有の病気のリスクがあることから、男性よりも「悪性新生物(がん)」の死因割合は高くなっています。

中学生や高校生、大学入学を控えているお子さまがいる場合は、さらに高額な教育資金が必要になることが考えられます。

40代は現役として働ける期間の折り返し地点ともいえるため、現在の家計状況や貯蓄、今後のライフスタイルを考慮して、保障内容の手厚い医療保険に加入するのが良いでしょう。

40代におすすめの生命保険とは?見直し方法や選び方・平均保険料など解説

50代:子どもの独立やライフステージの変化に合わせて保障を見直す

50代の方は、子どもの独立やライフステージの変化に合わせて、保障内容を見直す必要があります。

たとえば、出産に合わせて医療保険の保障内容を手厚くしていた場合、子どもが独立したことで保障が過剰となっている場合が考えられます。

医療保険を見直すことで毎月の保険料負担を減らすことができ、その分の資金を老後の生活資金に充てられるので、医療保険の見直しを検討しましょう。

一方、まだ子どもが独立していない世帯は、授業料の支払いや仕送りなどが滞らないように、より手厚い保障が必要といえます。

50代に必要な生命保険とは?選び方や見直し方を解説します

60代:介護や認知症に対する備えを考えながら、定年退職後の収入減少に備える

60代の方も50代と同様に、子どもの独立やライフステージの変化に合わせて保障内容を見直しましょう。

特に、65歳で定年退職を迎える方も多いため、定年後の収入減少に備えて、現在の家計状況や貯蓄を踏まえたうえで見直しをする必要があります。

また、60代になると自身やパートナーの介護、認知症に対する備えも必要となるので、本当に必要な保障にしぼって、その分の資金を貯蓄に回してくことが大切です。

十分な貯金がある方には医療保険は不要ともいえますが、保険加入の際には健康状態の告知が求められることが多く、高齢者の再加入はハードルが高い点に注意する必要があります。

60歳からの保険は必要?見直しのポイントや平均保険料などをわかりやすく解説

70代以上:公的医療保険の自己負担を考慮しつつ最小限の保障にしぼる

70代以上の方は、公的医療保険の自己負担分が、現役世代の3割から2割に軽減されます。

さらに、75歳以上になると「後期高齢者医療制度」が適用されるので、1割の自己負担で高度な医療を受けられます。

高額療養費制度も継続して利用可能なので、他の年代に比べて、70代以上の方に対しての公的医療保険制度は非常に手厚い状態にあるといえます。

そのため、まずは70代目線で公的医療保険の自己負担分を把握して、公的医療保険で補えない分をカバーできる医療保険を見つけることが大切です。

70歳・80歳から保険は必要?高齢者が入れる医療保険や生命保険を解説

(広告の後にも続きます)

【6ステップ】医療保険の選び方

自分に合った医療保険を探す際は、以下の6つのポイントを中心に検討しましょう。

【6ステップ】医療保険の選び方

入院給付金日額を決める

1入院あたりの支払い限度日数を決める

手術給付金のタイプを決める

保険期間を決める

保険料の支払い期間を決める

特約を決める

1. 入院給付金日額を決める

医療保険を選ぶ際は、はじめに入院給付金日額を決めるところから始めましょう。

入院給付金日額とは、病気やケガなどの理由で入院する場合に支払われる給付金のことです。

生命保険文化センターの調査によると、年齢別の入院給付金日額の平均保障額は、次のとおりです。

参照:1日あたりの入院保障額はどれくらい?|生命保険文化センター

上記の結果をみると、男女ともに50歳代が最も高く、男性は10,900円、女性は8,700円の入院給付金日額となっています。

ただし、これらの結果はあくまで平均であり、個室の病室を希望する際は差額ベッド代が、先進医療の治療を受ける場合にはより高額な医療費が発生する可能性があります。

ある程度の貯蓄があるという場合でも、入院時には収入が減ってしまうリスクがあり、会社員や公務員が受け取れる「傷病手当金」も、現在の収入の3分の2程度しか支給されません。

自身の年齢や今後のライフステージを考慮しつつ、上記の平均を目安にして入院給付金日額を決めるようにしてください。

入院費用はいくらかかる?1日・1週間あたりの平均額や相場を解説

2. 1入院あたりの支払い限度日数を決める

医療保険に加入する際は、1回の入院で支払われる入院給付金の限度日数を決めることは非常に大切です。

下記の図を見ると、最初の入院で20日間、100日後に同じ病気で25日間の再入院をした場合は、合計で45日間の入院をしたものと数えられます。

このとき、仮に支払い限度日数が30日間の医療保険に加入していた場合、30日間を越えた分については入院給付金が支給されないため、自身の貯蓄から賄わなければなりません。

一度の入院における支払い限度日数は、「30日・60日・120日」のいずれかを選択する場合が多いです。

弊社で独自に行ったアンケート調査の結果によると、4割以上の方が一入院当たりの入院給付金の支払い限度日数を「30日以上60日未満」としていることがわかりました。

また、「令和2年 患者調査の概況 | 厚生労働省」によると、令和2年度の平均在院日数は19.0日となっています。

支払い限度日数が長くなるほど保険料は高くなりやすいので、毎月の保険料とのバランスをみながら支払い限度日数を決めていきましょう。

3. 手術給付金のタイプを決める

医療保険の手術給付金には、大きく分けると次の2通りがあります。

医療保険の手術給付金の種類

倍率変動型:手術の種類によって倍率が変動する給付方法

倍率固定型:手術の種類に関わらず、給付額が固定されている給付方法

手術給付金は、入院給付金に対しての倍率で金額が決められるケースが一般的です。

倍率変動型は、手術の種類によって倍率が変動するタイプで、悪性新生物(がん)などの重大な手術の場合は入院給付金の20~40倍、軽度の手術の場合だと5~10倍程度と定められていることが多いです。

一方の倍率固定型は、手術の種類に関わらず給付額が固定されているタイプで、入院時の手術に対しては入院給付金の10~20倍、外来の手術の場合は5~10倍程度に定められていることが多いです。

弊社で独自に行ったアンケート調査を参照すると、医療保険加入者の5割以上が自身の手術給付金のタイプを「分からない」と回答しており、残りの約3割は「倍率固定型」を選択していることがわかっています。

手術給付金の支払い金額やその他条件は、医療保険の約款などに記載されているので、事前によく確認したうえで検討するようにしましょう。

4. 保険期間を決める

医療保険の保険期間には、終身型と定期型の2通りがあります。

医療保険の保険期間を決める際は、病気やケガに対してどれくらいの期間を備えておきたいかで選びましょう。

たとえば、契約後から一生涯に渡って保障を備えたい場合は「終身型」、子どもが独立するまでの一定期間は手厚い保障を準備しつつ、保険料とのバランスも考慮したい場合は「定期型」を選ぶのがおすすめです。

5. 保険料の支払い期間を決める

医療保険の保険料の支払い期間は、大きく分けると「終身払い」と「短期払い」の2種類があります。

医療保険料の支払い期間

終身払い:毎月の保険料が割安な代わりに、一生涯に渡って保険料の支払いが継続される

短期払い:支払い期間満了後も保障が続き、長い目でみると保険料の総額を低く抑えられる代わりに毎月の保険料負担が大きい

終身払いタイプの医療保険は、毎月の保険料負担が短期払いタイプよりも割安な代わりに、一生涯に渡って保険料の支払いが継続されるため、トータルでの保険料総額は高くなる傾向にあります。

一方の短期払いタイプは、毎月の保険料負担は大きいものの、場合によっては終身払いタイプよりも保険料の総額が安くなるケースがあります。

6. 特約を決める

最後に、医療保険に付帯する特約を決めましょう。

保険会社によって付帯できる特約は異なりますが、一般的には次のような特約を付帯できることが多いです。

医療保険に付帯できる特約の一例

通院特約:退院後も通院治療をした場合に給付金が支給される

先進医療特約:先進医療による治療を受けた場合の自己負担分が保障される

がん特約:悪性新生物(がん)に対しての保障が手厚くなる

三大疾病特約:がん、心疾患、脳血管疾患の三大疾病に対する保障が手厚くなる

女性疾病保障特約:女性特有の病気(乳がんや異常分娩など)に対する保障が手厚くなる

なお、特約を付帯することで毎月の保険料負担は大きくなります。

特約は必ずしも付帯する必要はないので、自身がどのようなリスクに対して備えたいのかを振り返り、選ぶようにしましょう。